翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 46

ページ: 46

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なりて妻子を初め此家のあるじも心を尽(つく)し良(りやう) 薬(やく)祈(いの)りと物しけれと長途(てうど)のつかれにやまた前世(せんぜ) の定(さだま)れる命にや十日 余(あま)りおもくわづらひて終(つい)に なき人の数(かづ)となりぬ妻子の歎(なげ)きいふも更(さら)なり 武士(ぶし)の習(なら)ひ何国(いづく)え果(はて)なんも斗り難(がた)き理(ことは)りは 誰(たれ)もしることながら住なれし古郷(こきやう)を仕官(しくはん)の為に 立出てはる〳〵しらぬ東(あつま)に下りてその願ひも果 さて空敷(むなしく)死にうせ給ひて残(のこ)りし雅(をさなご)わらは 女の身にて養(やしな)ひたてんよすかもなし魂(たましひ)なきから をさらで有なば同し道に伴(ともな)ひ給へ誰を便(たより)に 何によりてながらへんと絶(たへ)入〳〵歎(なけ)きしは理(ことは)りにも過 て哀(あわれ)なりあるし夫婦もさま〴〵となくさめて野べ のおくりもいとなみ終(をわ)りて此 主(あるし)の士(し)いとたのもし き人にて幾之助が母に向ひ何事も心の限(かぎ)りはご くみ奉らせんに夢々心置給ふべからす我(われ)は亡人(ぼうじん)に 遠からぬものなれはかくて御荘(おは)さん【?】には亡人と思ひ なぐさみて過し給へとねんころにかしづき幾之介 をも我子のごとく万いたらぬきはもなく教(おしへ)へ なし弓馬(きうば)剣術(けんじゆつ)手跡(しゆせき)文学(ぶんがく)何によらずその 道にかしこきを師(し)として学(まな)ばせけるたゝ無き