翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 48

ページ: 48

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此事を聞(きい)て母は袖をかほにあてしばしこと葉も なかりしが露(つゆ)斗もかくとしらは此子をも具(ぐ)して 下らんものを神ならぬ身は此子が行衛(ゆくゑ)を思ひて父(ちゝ) 母に預け下りしに今迄 便(たより)なきをあやしと思ひしに 理(ことは)にこそなを古郷(こきやう)の事とも委敷(くはしく)聞まほしく しばらく爰(こゝ)に留(とま)り給へとて二三日留(と)めおきぬ僧(そう)は 松前のかたへ行て末 陽(はる)【?】播州(ばんしう)へは帰るなりと 聞給て彼(かの)さよが方への文に一品をそへてこれを尋(たつね) 逢(をふ)て手渡(てわた)しして給へくれ〳〵たのみ入申也と 僧(そう)にも旅(りよ)用など少遣しぬ僧は品々取もち いとま乞(こふ)て立出ぬ年もくれて春の半(なかは)に僧は松 前を立て古郷へ帰(かへ)りあなたこなたよすが求(もとめ)て やう〳〵娘の在所(さいしよ)を聞(きゝ)出し尋(たづね)行てかくといひ入 けれは伯母(をば)もおさよも対面(たいめん)しつ陸奥(むつ)の事 細々(こま〴〵)語(かた)りて文と一品を渡(わた)しけれは人々母(はゝ)の深切(しんせつ) をかんじぬ然(しかる)るに此伯母其 夏(なつ)の頃身まかりて 頼(たの)む木(こ)かげに雨(あめ)もたまらでおさよはよるべなく たゞよひしを人々憐(あわれ)みて美作(みまさか)津山といへる 所の郷士(ごうし)の方へ養(やしな)ひ女(むすめ)に遣しける此 養父母(やうふぼ)深(ふか)く あはれみ国 主(しゆ)へ宮仕へに出しぬかゝりしより