翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 49

ページ: 49

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後(のち)は陸奥(むつ)の便(たより)も絶果(たへはて)けり幾之介か母は我子 の生(を)ひ先き美々敷(びゝしく)主君(しゆくん)の御 恵(めぐみ)に国中のよせ おもきを見るにも彼(かの)おさよか事を露(つゆ)も忘(わすれ)ず 今年はいくつに成なん今はさぞおとなしうも のしつらんなどなつかしう恋(こひ)しきまゝ神仏を いのりてひたすら廻り逢(あわ)ん事をのみねんじける 光陰矢(こうゐんや)よりもはやく時人を得たて幾之助十九の 年 元服(げんふく)し故(ゆへ)有て苗字(めうじ)を改 城主(じやうもんとう)とて役義(やくぎ) も此国の一人にならひて廿三才の時は二千石を給(たまわり) 国主の御目がねにて大役ながら此度 作州(さくしう)の御預り 地十万石の郡代になりて母(はゝ)もろとも彼地(かのち)へ至(いた)りぬ こゝは古郷(こきやう)へも無下に近く明(あけ)くれ母のこひしたひ 給ふ人々へも便(たよ)り求(もとめ)これかれ音信(ゐんしん)もしば〳〵聞 けれはおさよが行衛を母も尋(たづね)ぬれど更(さら)に知(し) れる人なしいたしぬかたなく心の及ぶたけ尋もと むれとそのよすかさへきかで三とせになりぬ母も 尋(たつね)侘(わび)てせんかたなくかく不幸(ふこう)の人は死(しに)もうせ つらんと老(おひ)の涙もろくてひとへに菩提(ぼだひ)をのみ 弔(とむら)ひけるかくてみちのくの守(かみ)より主水(もんど)に妻室(さいしつ) 迎(むか)ひ取 得(ゑ)させよと度々母が方へ仰(をゝせ)給りぬれは