翻刻!草双紙の世界

コレクション: @chinjuさんと読む草双紙

怪談御伽童 5巻. [2] - 翻刻

怪談御伽童 5巻. [2] - ページ 58

ページ: 58

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を聞(きゝゐ)て此年月 露(つゆ)わすれざりし面影(おもかげ)思ひ合すれは こよなうねびまさりて見所あるもその人にあらずと 思ひしゆへに心にもそまて過いる月日もくやしく かの谷川にてひろひ得し木の葉(は)取出し有しさま 又おさよならては外(ほか)の女に契(ちぎ)らじと思ひて新枕(にゐまくら)に ■今迄人め斗の妹背(いもせ)にて更(さら)に下紐(したひも)とかざりし などかたれはおしがも亦(また)懐(ふところ)より同じ木の葉(は)とり 出てさればとよわらはは養(やしな)ひ親(をや)の元(もと)より国司(こくし) へ宮仕(みやつかひ)に出しが此二とせ已然(いせん)より養(やしな)ひ親(をや)の館(たち)へ 帰り住(す)みてもたゞあけくれ御 行( く)衛の恋(こひ)しさたへ かたく心も空(そら)にあこがれ前栽(せんさい)のやり水に谷(たに)河 せき入たる辺(ほとり)に詠(ながめ)ゐしに折(をり)ふし木の葉の落(をち)たる を取て心にうかみけるまゝつたなきことの葉を 河水にうかべ侍(はべり)りしに亦の日用の事ありて此谷 川の下を通(とふ)りしに木の葉に何(なに)やらん書(かき)たる がながれたゞよひけれはもしやきのふの我くち すさびならんと思ひひろひ取て見れはさにはあ らで外の手(て)して書たるものゆへふしぎに思ひ 世にはわがごとく物思ふ人もあるやらんよし〳〵前(ぜん) 世(せ)のえにしつたなくおさなき時の人に逢(あふ)事かたく