翻刻
【右丁】
又一日陸路致し常山と云処へ着泊り川岸にはぜの木多し/其夕(その夕)四つ頃
常山役所ゟ五六人使来日本人之内三五人殊之□り候者参り候様
申来五人被出候処役人前後に付役所へ参り候処正面に重役外侍
七八人並居□書付を以て申候は日本に者仁義礼智信の道を
知りたる者何程有哉と問申候答て幾人と申数知れ不申と
申候得は大将始侍分迄きもをけしたる顔致し候我々申候者
日本は和用に而我々は真の字に而はわかりかたく何事も御免可被下度
殊に今日は陸路致し労れ申休足仕度候と申候ければ重役も
首をかたむけうなつき候に付一礼致し旅宿へ帰り申候時に
唐土に而は手を組事大成礼儀と承り候旅宿には残り者
心配致様候処残り始末相□候皆々安心致し又翌日
【左丁】
川舟に乗下り左右を見ればみかんの木沢山此所之大将
【脚注に九州帝国大学 図書 の朱丸印】
坊主也外に侍壱人小川舟故三艘にて送り又不思議の事者
大将分之舟に者女房娘子供皆々一所に居申此所は陸なし
【頭注に○印】
船を家に致し候か又は遊女共かと見へ申候無程/浙艮(シツコン)
へ着町へ上り
又小舟に替り此舟長弐間此川町の裏にて川巾弐間半計
至而せまき町川也登り下り舟数艘入違程なく
【頭注に○印】
カウヂウと申処へ着何弐里計行晩方に相成陸路致し
町中しはらく行山へ登り大成寺へ行此寺に泊り十月十八日也
此寺の本尊大成観音の像也堂内敷□わら表は戸なし
風吹込殊之外寒し付添役人へ申候得はわら沢山持来候
わらを敷休申候追々夜も明一流夜前は殊にひえ日本