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/宗平時弘(むねひらとしひろ)相撲付宗平/伊勢田世(いせたよ)相撲の事
人皇六十六代/一條院御宇(いちてういんのぎよう)に。/駿河国(するがのくに)の/私市(きさいち)の宗平といふ
すまふ。/儀同三司(ぎどうさんし)。/藤原伊周公(ふぢはらのこれちかこう)の御かたに参りたり。/時弘(ときひろ)といふ
相撲。伊周公の御弟/師(そつ)の/隆家(たかいえ)卿のかたに参りて。時弘しきり
に宗平と相撲をのぞみける。/若負(もしまく)るものならば/首(くび)を切ら
れん。時弘/負(まけ)は時弘が首を切んなど申ける。/或(ある)とき伊周公のや
かたにて。立合けるが。宗平手あひするとひとしく。時弘を取
て地に/投(なげ)ふせければ。時弘しばらくうごき得ざりけり。隆家や
すからずやおぼしけん。/落涙(らくるい)し給ひけるとかや。伊周公やがて
/宗平(むねひら)に/褒美(ほうび)し給ひけり。時弘いかつて立出るとて門の
/関(くはん)の/木(き)を引おりける。此時弘も其比ならびなき/強力(がうりき)なりし
かど宗平には及ばざりけり。其比宗平はならびなき取てにて
いく程もなく/左(ひたり)の/脇(わき)に立にけり《割書:左のわきとは|左方の関脇也》又同じかたの相撲
に。三河国の/伊勢田世(いせたよ)といふものあり。たけたかく/骨(ほね)ふとく/力(ちから)き
はめてつよし。/最手(ほて)に立て《割書:最手は別|との関也》久しくなりけるが。宗平
と相撲を取けるに。田世/負(まけ)しかば。宗平最手に立て田世は
脇にぞくだりける。其比左右の相撲に宗平におよぶものなかり
けるとぞ。/古今著聞集(ここんちよもんしう)にでたり。又/太秦広隆寺(うづまさくはうりうじ)の/南大門(なんだいもん)