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光が手を取て。/前(まへ)につよく引ければ。うつぶしにまろびたり。
弘光立あがり只今はあやまちなりとて。又すゝむを同じ
ごとくに手を取てうしろさまにはねければ。のけさまにどうとた
ふれ。しばし有て/起(おき)あがり/烏帽子(ゑぼし)のおちたるを取ておしいれ
/師(そつ)の前にひさまづき/涙(なみた)をはら〳〵とながして。君の/見参(げんさん)に入候はん
もけふはかりに候とてはしり出もとゞり切て。法師にぞ成にけ
る。又あるとき父伊遠伊成かちからをこゝろみばやとてぬりご
めの中にてくみあひたり。/勝負(しやうぶ)はいづれと見へざれども板敷
のなるおと。おびたゞしく。/雷(らい)のおちたるやうにぞきこへける。又
此/権頭(ごんのかみ)伊遠。/若(わか)きとき京に出て。宮つかへせし折節。馬の足
を折し事有。今是を畧す。古今著聞集に見ゆ
/佐伯氏長相撲節(さへきうぢながすまふのせつ)に/上洛(しやうらく)の事
越前国に。佐伯氏長といふ大力の者ありしが。/禁裏(きんり)へ相撲に召
れてのぼりけるとき近江国/高嶋郡(たかしまごをり)の石橋を過侍りけるに。
いと/清(きよ)げなる女。川の水を/汲(くみ)てみづからいたゞき行。氏長見て心うご
き此女が/腕(うで)の下へ手をさしやりたるに。女うちえみて氏長が手を
/脇(わき)にてはさみけるが久しくなれどもはなたざりしほどに
引ぬかんとすれどもかなはず。打おどろきておめ〳〵と女に