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したがひ行に。女家に入ていかなる人ぞと問ふに。しか〳〵のよし
をかたる。女のいふ、今の程にては心もとなし。其/期(ご)いまだ日数有ば
しばらくとゞまり給へといふにしたがひとゞまりければ。其夜より
こはき/飯(めし)をこしらへ。女/自握(みずからにぎり)てくはするに/喰(くひ)わられざりしが
日を/経(へ)てやう〳〵/喰(くひ)わられけり/夫(それ)より/次第(しだい)にうるはしく喰けるまゝ。
今は/子細(しさい)あらじとてのぼせけるに。/果(はた)して/晴(はれ)の相撲に/勝(かち)て高名しけり。
/偏(ひとへ)に此女の/力(ちから)成けり。此女はおほゐ子といふ/勇力(ゆうりき)のおんなにてぞあ
れける。あるとき村の人田に水をまかするころ。水を/論(ろん)し
てとかくあらそひおほい子が田にはあて付ざりける時おほい子
夜にかくれて面のひろさ六七尺ばかりなる石の四方なるをもち
来り。/彼(かの)水口に/置(おき)てければ。水おもふやうにせかれて。おほい子が。
田うるほひにけり。村人見て大きにおどろき石を引のけんとす
るに百人してもかなはず。いかゝせんとて。村の人おほい子にわ
びをこふてければ。此上はとて其/侭(まゝ)石を引のけり。夫より
後はながく/水論(すいろん)する事やみにけり。/件(くだん)の石大井子が水口石とて。今
に伝るとなん。古今著聞集に見へたり
/大井光遠(おほゐのみつとを)が事
/甲斐国(かひのくに)のすまふ。大井光遠といふもの有。ちからつよく。手きたへ