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足(あし)を/差延(さしのべ)。河津か/股(もゝ)に/纏(からみ)けるを。河津事ともせず一/反(そり)して
尚高〳〵と差揚。しばし/保(たもち)て。片手を/放(はなち)真中に進て/横(よこ)さ
まにぞ/投(なげ)たりければ。俣野早々/起(おき)上り相撲の取やうこそ多
に。なんぞや/御辺(ごへん)の/片手業(かたてわざ)はといひければ河津打笑ひされば
こそ/最前(さいぜん)も勝たる相撲を/論(ろん)し給ひける程に。此度は真中
におゐて。/然(しか)も片手投に仕たるか。/未(いまた)御負ならずや/実(げに)〳〵木の
根のなきにこそ。右は仰つらめ只その勝負を人々御覧候へつ
るかと云ければ。/列座(れつさ)の面々一度に/咄(どつ)と笑ひける 下略 曽我
物語に出たり
/畠山重忠(はたけやましげたゞ)長居(ながゐ)と相撲の事
/鎌倉(かまくら)の源頼朝卿の/御館(みたち)へ。東八ヶ国に/双(ならひ)なき。大力/長居(ながゐ)といふ
相撲来ていはく当時に長居に手向ひいたすべき人おぼへさふらはず。畠山庄司次郎ばかりぞ心にくい。それとてもたや
すくはいかでかはたらかし候はんと。詞をはなちて云るは。頼朝聞し召てねたましくおほしける折ふし重忠きたりたり。
白き/水干(すいかん)に/葛(くず)ばかま。黄なる衣を/着(き)たるける侍所に大名
小名。ひしと居ならびたり中をわけて座上に居たる。大将/尚(なを)
ちかく。それへ〳〵と有けれども。かしこまりてさふらひけり