東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

古今相撲大全 - 翻刻

古今相撲大全 - ページ 56

ページ: 56

翻刻

其とき頼朝卿物語し給ひてそも〳〵足下に所望の事 誰を申さんとおもふが宣て/不詳(ふしやう)に候はん。為にやまんも/忍(しの)び がたしとおもひわづらひたりと/宣(のたまひ)ければ。重忠ちと/居(い)な をりて。君の御大事。何にて候とも。いかで子細を申候はんと云 たるに。大将/入輿(じゆけう)し給ひて。その庭に長居めが参りて。東八ヶ 国にならびなしと。/自称(じしやう)して。/貴殿(きでん)と手あひを望みする 間。ねたましく覚ゆれば。頼朝なりとも出てこゝろみんや とおもへとも。とりわき重忠をのぞみ申ぞこゝろみ給へと のたまへば。重忠/存外(ぞんぐはい)げにおもひて。かしこまりていふ事なし 大将さればこそ。これは我ながらも非愛の事にて候。但わが所 望此事に有とのたまうとき、重忠閑所に行て。くゝりすへ。/鳥(ゑ) /帽子(ぼし)かけて出にけり。長居は庭の床にしりかけて居けるが。 つと立て/犢鼻(ふどし)つきてねり出たる形勢。/金剛力士(こんがうりきし)のあらはれ たるかと見へければ。畠山もいかゞぞとおぼへける。さてよせ合 せたるけるに。長居畠山がこくひをつよくうつて/袴(はかま)の/前(まへ)ごし をとらんとしけるを。畠山長居が左右の肩をひしとおさへて。 ちかづけず。しばらく/程(ほど)へければ/梶原景時(かぢはらかげとき)いまはことがら御覧 さふらひぬ。さやうにてやおかせさうらはんと申ければ頼朝いか