東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 2

古今相撲大全 - 翻刻

古今相撲大全 - ページ 90

ページ: 90

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風呂をしつらひ置て入る。御用木も諸人に勝(まされ)たる大男に て侍れど。たやすく居風呂へ入にける。折節(おりふし)一乗寺(いちじやうじ)村より。 戻(もど)りたりし牛(うし)来る。門口に仕つらひたる風呂にて。牛の通 る邪厂(じやま)に成るにより。牛飼(うしかい)のけてくれられよといふ時に。御用 木/俄(にわか)にあがらんとしけるを。側(そば)に有あふ両國。いざのけて やらんと。御用木が入たる居風呂共に脇(わき)へのけける。彼(かの)牛を追(おひ) 来りし百姓。かれは人間/業(わざ)にてはあるまじと。大に恐(おそ)れ足(あし) 早(ばや)に逃(にげ)かへりけるとなん。誠に大力いふばかりなし。此両國が櫛 をさしたるより。角力取の内。前髪(まへがみ)あるもの。多く櫛をさす ことはやりて。其後は鬼勝象之助が二枚櫛をさし初たり。昔は 犢鼻褌(とくびこん)とて。布にて下帯をかくす。はかまを着(ちやく)したり。依(よつて) 風流も尽(つく)さず。勧進(くわんじん)になつては犢鼻褌まとふことならず 犢鼻褌は朝庭(てうてい)の相撲のとき。此官の大将より是を賜(たまは)る。よつ て犢鼻褌を用ゆることあたはず。故に織紋(おりもん)。縫模様(ぬいもやう)の風流 を物好(ものずき)仕初(しそめ)たり。此事正徳中に初り。享保年中大に流行(りうかう)しける。 其比武門の御歴々に。至て相撲を好ませ給ひ。諸国の大力上手等 数多(あまた)御/抱(かゝへ)有て。角力取の望にまかせ。勧進ずまふにも暫(しばらく)の御暇(おんいとま) 給はり御構もなく出し給ふ。其御抱の角力人。彼殿(かのとの)より拝領(はいれう)の下