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【右丁】
至ては我家之一子相伝たるを以てこれをもらす事を得ず
これを記さずして只切形のみを図示せば恰も画餅の如し
我流義之切形之書のみならず他流之書もむかしより世に
散在し居れども其書には古実法理之事は一も記しあらず
其画餅にひとしき書世に出しためなまものじりの庖丁者
これを得て宝蔵し其切形の如くまねをなせども必竟学ば
ざれば其書に記したる如くならぶる事を得ず徒らに無法
之庖丁人となり反て具現者之笑の種となる如此もの昔よ
りこれあり其例乏しからず然るに今又こゝに切形のみを
図示せば再び無法之庖丁人を世に出す事あらんをおそれ
左に記す魚鳥之所に其魚鳥之切形之名称之大略を示し其
【左丁】
切形を図示せずこゝに懸
鯉之切形之一を図し画餅
にひとしきものたる事を
知らしむ
懸鯉切形之図 【図】