翻刻
 ̄オクリガナ上段】
井の内の蛙(カイル)は陋(セバ)き所にばかり居るゆへ大
海の事をかたれば用ひざる也子に詐(イツハリ)を
かたれば子も必いつわりものになる也
【下段】
《振り仮名:井蛙莫_レ語_レ海|せいあにはうみをかたることなかれ》 《振り仮名:子莫_レ語_二誑語_一|こにはきやうごをかたることなかれ》
【上段】
君は悪人にして君の道にそむく共臣は
是を恨(うら)みず臣たる道をつくすべしと
也君があしきとてすつる事なかれ
【下段】
《振り仮名:君雖_レ背_二君道_一|きみはきみのみちにそむくといへども》 《振り仮名:臣莫_レ背_二臣道_一|しんはしんのみちにそむくことなかれ》
【上段】
父は悪人にして父の道に背(ソム)き子をよく
あわれまず共子は子たる道にそむかず
よく孝をつくすべしとなり
【下段】
《振り仮名:父雖_レ背_二父道_一|ちゝはちゝのみちにそむくといへども》 《振り仮名:子莫_レ背_二子道_一|こはこのみちにそむくことなかれ》
【上段】
理の正(タヽ)しき父は悪き子をは捨てよき
子のみ愛す也心の明かなる君は佞(ネイ)臣
をば捨て正しき臣下のみを用る也
【下段】
《振り仮名:慈父弃_二悪子_一|じふはあくしをすて》 《振り仮名:明君捨_二佞臣_一|めいくんはねいしんをすつ》
【上段】
敖を盛んにすれば後は邪なる事をする
もの也 欲(ヨク)を心のまゝにすれば大悪をも企(クワタツ)
るもの也故に賢者はふかくいましむる也
【下段】
《振り仮名:敖必不_レ可長|おごりはかならずちやうずべからず》 《振り仮名:欲必不_レ可_レ縦|よくはかなら□ほしいまゝにすへからす》
【上段】
己に智分もなくして大きなる事に志すは
あやまちの本也 楽(タノシ)みは至極になれは必
かなしみにかへるもの也少し内にすべし
【下段】
《振り仮名:志必不_レ可_レ満|こゝろざしはかならずみつべからず》 《振り仮名:楽必不_レ可_レ極|たのしみはかならずきわむべからず》
【上段】
己がなる所のわざを以人のならぬをいや
しみかすむる事なかれと也一 能(ノウ)はまさり
ても他の事に劣(ヲトル)事もあるべし
【下段】
《振り仮名:以_二己於所能_一|おのれがしよのふをもつて》 《振り仮名:莫_レ責_二 人不能_一|ひとのふのふをせむることなかれ》
【上段】
己が人にまされる事を以人のをとれるを
掠(カスメ)て手柄(テカラ)とする事なかれと也人のおと
れるをよくあわれむこそ道也
【下段】
《振り仮名:以_二己於所長_一|おのれがしよちやうをもつて》 《振り仮名:莫_レ責_二 人所短_一|ひとのしよたんをせむることなかれ》
【左丁】
【上段】
割の正しからぬものをくふべからず正し
からぬ座に居る事なかれと也此をしへ
を以万の正しからぬを嫌うふべし
【下段】
《振り仮名:割不_レ正不_レ食|きりめたゞしからずはくはざれ》 《振り仮名:席不_レ正不_レ坐|せきたゞしからずはおらざれ》
【上段】
魚の肉のやぶれたるは身のどく也
又何にても色のあしく変じたる物
みな毒也必くふことなかれと也
【下段】
《振り仮名:魚肉敗不_レ食|ぎよにくのやぶれたるをくらはざれ》 《振り仮名:色悪変不_レ食|いろのあしくへんじたるをくはざれ》
【上段】
にほひあしく成たる物又はめづら敷
時ならぬもの又はいまだじゆくせ
ざるものくふべからずと也
【下段】
《振り仮名:臭悪物不_レ食|かのあしきものをくらはざれ》 《振り仮名:不_レ時物不_レ食|ときならざるものをくらはざれ》
【上段】
前によく教をは不_レ立してあやまち
したる時に殺事なかれ又法度をはゆ
るく立て過をしたる時密くせざれ
【下段】
《振り仮名:不_レ教而莫_レ殺|をしへずしてころすことなかれ》 《振り仮名:莫_二慢_レ令致_一_レ期|れいをゆるくしてごにきはむる事なかれ》
【上段】
己をは貴くして人を見下す事なかれ
己を大智なりとして人を小智なりと
おもふべからずと也
【下段】
《振り仮名:勿_二貴_レ己賎_一_レ 人|おのれをたつとくしてひとをいやしんずる事なかれ》 《振り仮名:勿_二自大他小_一|みつからだいな□□してたをしやうなりとすることなかれ》
【上段】
小事を第一につとめて大なる事を失
ふ事なかれ小利ある事を第一につ
とむれは大利を得る事なし
【下段】
《振り仮名:専_レ小莫_レ失_レ大|しやうをもつはらとしてだいをうしなふ事なかれ》 《振り仮名:小利大利残|しやうりはたいりをそこなふ》
【上段】
人道は政をとくして人を治るを第一と
する也地道はうゆる事をすみやかに
して民をやしなふを第一とす
【下段】
《振り仮名:人道者敏_レ政|じんたうはまつりことをとくせよ》 《振り仮名:地道者敏_レ樹|ちだうはうゆることをとくせよ》
【上段】
宝を多く求れは必災起る也是はた
からにて災をかふがごとしおもてをかざれ
ば内つかれて□を得たるがごとし
【下段】
《振り仮名:不_二懐_レ宝買_一_レ害|たからをいだいてかいをかわざれ》 《振り仮名:不_二錺_レ表招_一_レ累|をもてをかさりてわざはいをまねかざれ》