翻刻
【右丁】
【上段】
天下第一の□功を□就したりとも
よく礼譲行ひて少もその功にほこ
る事なかれとなり
【下段】
《振り仮名:功過_二於天下_一|こうてんかにすぎたりとも》 《振り仮名:守_レ之可_レ以_レ譲|これをまもるにじやうをもつてすべし》
【上段】
一天下を持つほとの富を得たりとも
少も奢す人にむかひても万つへり
くだるべしとのをしへ也
【下段】
《振り仮名:富有_二於四海_一|とみはしかいをたもつとも》 《振り仮名:守_レ之可_レ以_レ謙|これをまもるにけんをもつてすべし》
【上段】
正しき道を行はざれば吾身脩る事
なし道をよくおさむるには心を専と
すべし仁とは爰にては五常の事と知べし
【下段】
《振り仮名:脩_レ身必以_レ道|みをおさむるにはかならすみちをもつてせよ》 《振り仮名:脩_レ道必以_レ仁|みちをおさむるにはかならずしんをもつてせよ》
【上段】
国の政をもすへき位に至らずいまだ下位
の人の己より上の人のすべき事を取おさ
めんとするは過たること也
【下段】
《振り仮名:不_レ在_二於其位_一|そのくらいにあらずして》 《振り仮名:不_レ謀_二於其政|そのまつりことをはからざれ》【一点脱】
【上段】
道はよく天下を治るものなれは貴きも
のなり故に君子は吾身は大難にあふ
といへ共人のためによく道をひろむる也
【下段】
《振り仮名:身軽而道重|みをかるふしてみちをおもくせよ》 《振り仮名:死_レ身而弘_レ道|みをごろしてみちをひろめよ》
【上段】
礼を行ふにも国を治るにも古へより定
れる法ある也百倍の利なくは古代の
法をかへざれと也
【下段】
《振り仮名:利者非_二百倍_一|りはひやくばいにあらずんは》 《振り仮名:不_レ変_二古代法_一|こだいのほうをへんぜざれ》
【上段
衣服又は諸道具は古人より定れる法有
て作る也十倍の利なくは古の法をかへ
てあたらしく作りかへざれと也
【下段】
《振り仮名:功者非_二 十倍|こうはぢうばいにあらすんば》 《振り仮名:不_レ易_二古代器_一|こだいのうつわをかへざれ》
【上段】
古人聖人の定め給ふ法を手本として
守れは過なしよく礼をおさめ行ふもの
は邪ある事なし
【下段】
《振り仮名:法_レ古者無_レ過|いにしへにのつとるものはあやまちなし》 《振り仮名:脩_レ礼者無_レ邪|れいをおさむるものはよこしまなし》
【左丁】
【上段】
大きに辛労をしたるものには恩をあ
つくすへし賢徳ある人ならは目利を
して諸人より位をたかくすべしと也
【下段】
《振り仮名:労大者禄厚|らうをゝいなるものにろくをあつふせよ》 《振り仮名:徳盛者位尊|とくさかんなるものにくらいをたつとふせよ》
【上段】
其役をよく勤むべき人をゑらひて
つとめさすれはその役治る也あしき人
によき役をゑらひてさすれは乱るゝ也
【下段】
《振り仮名:為_レ官択_レ 人治|くわんのためにひとをゑらへはおさまる》 《振り仮名:為_レ 人択_レ官乱|ひとのためにくわんをゑらめばみだる》
【上段】
ひいきを以悪き人を用ひて大役をつと
めさせ其役を乱さすへからす人をゑらふ
に正しき方をかへる事なかれと也
【下段】
《振り仮名:挙_レ 人不_レ失_レ官|ひとをあげてくわんをうしなはざれ》 《振り仮名:選_レ 人不_レ易_レ方|ひとをゑらんでほうをかへされ》
【上段】
君はよき臣をゑらひて其人におふじ
たる役をあたへ臣は又己が器量をかんがへ
て己に過たる役ならは退へし
【下段】
《振り仮名:君択_レ臣授_レ官|きみはしんをゑらひてくわんをさづけ》 《振り仮名:臣量_レ己受_レ職|しんはをのれをはかつてしよくをうく》
【上段】
何れの人にも一能づゝはすぐれたる方
があるもの也その人のよくなる事を
つとめさすればとくあるなり
【下段】
《振り仮名:人各有_二 一能_一|ひとはおの〳〵いちのふあり》 《振り仮名:因_レ芸而授_レ任|げいによりてにんをさづけよ》
【上段】
その人のよくする事をはかりて役を
あたへへし又何れの官職をもすて
ざれは事よく治まるなり
【下段】
《振り仮名:量_レ能授_レ官則|のうをはかりてくわんをさづくるときは》 《振り仮名:職無_二廃事_一也|しよくすたることなきなり》
【上段】
其者の辛労の功をよくかんかへて位
をあたふれは賢者も愚者もその者の
居るべき位の所に居りてよし
【下段】
《振り仮名:因_レ労施_レ爵則|ろうによつてしやくをほどこすときは》 《振り仮名:賢愚得_レ宜也|けんぐよろしきをうるなり》
【上段】
其官職をつとむべき器量にあら
ぬ人がその役をつとめぬればその役治
らずしてか□□□□わいおこる也
【下段】
《振り仮名:不_レ当_二其器_一者|そのきにあたらずんは》 《振り仮名:莫_レ居_二於其職|そのしよくにおることなかれ》