翻刻
【右丁】
【上段】
万の理をし□□□成がたきにあらず
よく知事は成かたき也誰も哥をば
よめどもよくよむ人はなきなり
【下段】
《振り仮名:非_二知_レ之難_一也|これをしることのかたきにあらさるなり》 《振り仮名:能_レ難也矣|これをよくすることかたし》
【上段】
吾より後に生るゝ人をは侮るべか
らず後に生るゝ人は何ほどの智の
人にならんもはかりがたし
【下段】
《振り仮名:後世可_レ畏也|こうせいおそるへきなり》 《振り仮名:来者難_レ誣也|らいしやしいがたし》
【上段】
つよくかゝるものをばしばらくおさへ
てしづむべし貧なるものには物を
あたゆべし
【下段】
《振り仮名:強者可_レ抑_レ之|つよきものはこれをおさゆへし》 《振り仮名:貧者可_レ豊_レ之|まづしきものはこれをゆたかにすべし》
【上段】
はかる事の巧なるものをは近づけ
て己がたすけにすべし人を讒言す
るものをははやくしりぞくへし
【下段】
《振り仮名:謀者可_レ近_レ之|はかりことあるものはこれをちかづくへし》 《振り仮名:讒者可_レ退_レ之|ざんしやはこれをしりぞくべし》
【上段】
吾に背く者をば是を捨べし吾に
降参して来れるものをばたとひ咎
あり共ゆるすべしとなり
【下段】
《振り仮名:反者可_レ廃_レ之|はんするものはこれをすつへし》 《振り仮名:服者可_レ活_レ之|ふくするものはこれをいかすべし》
【上段】
事は必油断する所よりおこりわざ
わいは人をないがしろにしことをみ
だりにするよりおこる也
【下段】
《振り仮名:事起_二乎所_一_レ忽|ことはゆるかせなるところよりおこり》 《振り仮名:禍生_二乎無妄_一|わざわいはむばうよりなる》
【上段】
内心に色を思ひて心をみたりに持事
なかれ外の形をば正しく持て鳥獣
のごとくのふるまひあらされ
【下段】
《振り仮名:勿_三内荒_二於色_一|うちいろにすさむことなかれ》 《振り仮名:勿_三外荒_二於禽_一|ほかきんにすさむことなかれ》
【上段】
もとめがたきたからを価を多く出し
て求る事なかれ国家を亡ほす邪
なる音を耳に聞事なかれと也
【下段】
《振り仮名:勿_レ貴_二難_レ得貨_一|ゑがたきたからをたつとむことなかれ》 《振り仮名:勿_レ聴_二亡国音_一|ばうこくのこゑをきくことなかれ》
【左丁】
【上段】
吾身をは貴しと思ひて人をあなどる
事なかれ吾は智ありと思ひて人の
諫をふせく事なかれと也
【下段】
《振り仮名:我貴勿_レ慢_レ 人|われたつとしとてひとをあなどることなかれ》 《振り仮名:我智勿_レ拒_レ諫|われちありとていさめをこはむ事なかれ》
【上段】
周公旦ほどの大富貴を得たり共
奢る事なかれと也いわんやそれより
下の人においてをや
【下段】
《振り仮名:以_二周公之富_一|しうこうのとみをもつても》 《振り仮名:而不_レ至_二於驕_一|おごりにいたらされ》
【上段】
顔回ほどの大貧に成たり共己に得
たる道をたのしみて少も人の富
をむさほらんとする事なかれ
【下段】
《振り仮名:於_二顔子之貧_一|がんしがまづしきにおいても》 《振り仮名:而不_レ改_二其楽_一|そのたのしみをあらためざれ》
【上段】
常にましはりてなれたる人なり共
よく敬て礼をあつくすべし畏るへき
人也とも而も能近付て愛すへし
【下段】
《振り仮名:狎而可_レ敬_レ之|なれたりともこれをけいすべし》 《振り仮名:畏而可_レ愛_レ之|おそるれどもこれをあいすべし》
【上段】
己が気に入たる人にても其人の悪き所
をばよく知へし己がにくしと思ふ人也共
よき事のあるをは見しるべし
【下段】
《振り仮名:愛而知_二其悪|あいすともそのあしきをしれ》 《振り仮名:憎而知_二其善_一|にくむともそのよきをしれ》
【上段】
財をば多く倉につみたり共人を恵
てよき時は散してあたふべし安きに居
ても義を見ては其所を捨てうつるべし
【下段】
《振り仮名:積而能散_レ之|つみてもよくこれをちらせ》 《振り仮名:安_レ安而能遷|やすきにやすんじてもよくうつれ》
【上段】
人の書籍などをかりてはよく守りて
毀ぬやうにしてかへすべしと也此教を
以万つのかり物を大事にすべし
【下段】
《振り仮名:借_二 人之典籍_一|ひとのてんせきをかりては》 《振り仮名:皆能須_二愛護_一|みなよくすべからくあいごすへし》
【上段】
先より借たる時にかけやぶれたる所
あらはよくつくろい補てかへすべし
少もそこなわされとのをしへなり
【下段】
《振り仮名:先有_レ所_二欠壊_一|さきよりかけやぶれたるところあらば》 《振り仮名:就為可_二補治_一|ついてためにほぢすへし》