翻刻
【右丁】
著(あらは)したる製葛録(せいかつろく)を求め葛の掘やう
を人々におしゆる人あらん事を希(こひねが)ふ飢民(きみん)
の助(たすけ)となる第一の急務(きうむ)なるべし
○団子汁(だんごしる)の事
田家(いなか)にては黍(きび)稗(ひへ)蜀黍(たうきび)蕎麦(そは)小(こ)麦等を作(つく)りて
団子(だんご)となし食(しよく)すれども。都会(とくわい)にては其事(そのこと)なし
がたけれども。粉屋(こや)に温飩粉(うとんこ)蕎麦(そば)粉 等(とう)の二ばん
粉(こ)又は三ばん粉などを買(かひ)団子(だんご)にこね味噌汁(みそしる)
に菜(な)大根(たいこん)いもかぶら等(とう)を沢山(たくさん)に切込(きりこみ)其中へ右
【右丁左下枠外】天保 九
【左丁】
のだんごを入 焚(たき)て食(しよく)しなは大いに米の助(たすけ)と成(なる)
なり。扨(さて)丸(まる)くつくりたる団子(だんご)は腹中(ふくちう)こはばり癪(しやく)【注】
気(き)もちなどは。もたれる事あり。故(ゆへ)に温飩粉(うどんこ)を水
にてゆるくこね。鍋(なべ)の上にて右こねたるを左(ひだり)の手に
もち右(みぎ)の手に水をつけひらたく引のばしていれ。の
ばしてはいれすれば。食(しよく)するに和(やは)らかにしてつかへ
る事なく喰(くひ)よきものなり
○農家(のうか)食物(しよくもつ)の弁(べん)
何国(いづく)にても農家(のうか)の食物(しよくもつ)はかはる事なしといへども
【注 「癪」は「疒+責」に誤記】