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飯百珍伝 - 翻刻

飯百珍伝 - ページ 13

ページ: 13

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【右丁】 都会(とくわい)に近(ちか)き村里(むらさと)と遠国(おんごく)のむらさと。又/城下(しやうか) にちかき所(ところ)と山里(やまさと)は異(こと)なり。西国辺(さいこくへん)の農家(のうか)に ては多(おほ)く里芋(さといも)を作(つく)りおき。それをざつとあらひ こきそばかりを取捨(とりすて)。いまだ黒きなりにて塩(しほ)を入 煑置(たきおい)て。朝(あさ)とり出(いだ)し地炉(ゐろり)に火を焼(たき)。其/燠(おき)をかき出(いだ)し 焼(やい)て食(しよく)し茶(ちや)をのみ農働(のばたらき)に出(いづ)るなり。是を食(しよく)すれ ば腹(はら)ふくれて朝飯(あさめし)少(すくな)く喰(くひ)米(こめ)麦(むぎ)粟(あわ)等(とう)おのづから 少(すくな)くいるとなり。田舎(いなか)にかぎらす京大坂辺(きやうおほさかへん)にても此 思(おもひ)をなし土薯(つちいも)をとゝのへて右のことくして米(こめ)麦(むぎ)を          【右丁左下枠外】天保 十 【左丁】 助(たすく)る工夫(くふう)をなしたきものなり。 ○今もつぱら食(しよく)する甘薯(さつまいも)は。むかしはやり出(いだ)せしときは 其(その)地頭(ぢとう)より是(これ)を作(つく)りて䈰(ざる)に入。門口(かとぐに)【注】につりおき農(のう)に 出(いづ)るとき取(とり)て喰々(くひ〳〵)出(いで)。又/帰(かへ)りに取(とり)て食(しよく)すべし。左(さ)すれは 粮(かて)を助(たす[く])るなりと触(ふれ)させられしと伝(つた)へ承(うけたま)はりぬ。今(いま)都(と) 会(くわい)にて歴々方(れき〳〵がた)までも其(その)味(あぢ)はひを知(ひら)せ玉はぬはなし 賤家(せんか)にては米価(こめのね)高(たか)きときは此(この)さつま薯(いも)をとヽのへ おいて粮(かて)の助(たすけ)にしたきものなり。米を作(つく)る百姓(ひやうしやう)も登(みなら) ざる所にては艸(くさ)藁(わら)等(とう)を食(しよく)する所もあるへし是等(これら) 【注 「門口」の振り仮名は「かどぐち」ヵ】