翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

木斎咄医者評判 5巻 - 翻刻

木斎咄医者評判 5巻 - ページ 16

ページ: 16

翻刻

とよはれ侍らんとの心(こゝろ)にて候なり。父かよみにてたけさい ならば。われもきさいと申へきか。父(ちゝ)をこへにてちくさい と申候へは。我(われ)も又ぼくさいと呼(よば)せ申也/是(これ)と申も御/影(かけ) 故にかゝるわけをもそんじ候へば有。かたき御/恩(おん) にて侍るとていよ〳〵学問(がくもん)おこたらねど。生(むま)れつきたる 不器用(ぶきよう)にて。物覚(ものおぼへ)のあらされば。只(たゞ)籠(かご)ぬけにことならす まづは身過(みすぎ)の為(ため)なればいしやの/白人(しらふと)に問(とわ)れてのかけ はづしをせんとならひしも。ぬからぬ思案(しあん)ときこへける されども俄(にわか)のいしやなれは。誰(たれ)壱ふくの薬(くすり)を望(のそ)む ものはなし。只(たゞ)明暮(あけくれ)製方(せいはう)薬種(やくしゆ)取(とり)よせて。守(まも)り 居(い)たるばかり也。ふりうり太郎工夫(たらうくふう)して。商(あきない)中間(なかま)の 者(もの)共に何(なに)となく語(かた)るやう。我等(われら)孫(まご)は。父(ちゝ)竹斎(ちくさい)よりも 器用(きよう)にて一/字(じ)を十字とさとりつゝ薬(くすり)の配剤(はいざい)功者(こうしや) に成たとへは他人(たにん)の余(あま)したる大/病(ひやう)の。今(いま)目(め)をすへ 歯(は)をくいしむるもの成共我孫がかゝりて。薬の口へ 入程(いるほと)なれは忽(たちまち)に活(よみがへ)る。其(その)手/柄(がら)おほきゆへ方々より 呼(よび)に来(き)て。のり物(もの)かきにことかけは日用(ひよう)壱人たのみ つゝ身/過(すぎ)なれは是非(ぜひ)もなや孫の乗(のり)しのり物を。我 等(ら)相手(あいて)にかく故に商(あきない)のしやまとなる。後(のち)は薬代/取(とる) とても。孫の冥加(めうが)のためといひ当座(とうざ)はそんと見へ けれは。ふつ〳〵いやと云ふらせは商(あきない)中間(なかま)の者(もの)共は 是をまことゝ思ひつゝ。あなたこなたと云ふれて。折(おり)