翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

木斎咄医者評判 5巻 - 翻刻

木斎咄医者評判 5巻 - ページ 5

ページ: 5

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愛(あい)せり。母は枕の内よりも。いたはり付侍りぬ。竹斎は爰ぞ 大事とひそうせし。青/表紙(びやうし)を取出して見てあれば ちんひを加へぶしをのぞくべしと有程に。まかせておけと 云まゝに。口にはしつかとちんひくはへ。ぶしの入たる紙袋(かみぶくろ)を。まな こを見出して志ばらくのぞく其内に。無常(むじやう)の嵐(あらし)はけし くて。其子をたのむすて給ふなと。云/声(こへ)ばかり耳にとまり。 朝(あした)の露とぞきへにける。竹斎はあきれはて。思ひの火(ひ)を 胸(むね)にたき。枕にのこる薬をうらみ。足(あし)ずりをしてふし まろび。なげくにかいもあらいその。水のあはれはさておきぬ。 野辺の薪(たきゞ)の代(しろ)もなく。経(きやう)かたびらの才/覚(かく)も。なき身を 見るぞかなしき。爰(こゝ)に年比の郎等(らうどう)に薮(やぶ)ぐすしの。薮の 一字をゆるされたる。藪にらみの助と云もの有。かね〳〵主 の竹斎の。さじさきばかりたのみては。朝夕のけふりたえ〳〵 なれば。幸(さいわい)此所の名物の。芝さかなをあきなひて。いと なみをつゞけしが。商(あきな)ふさきへ友達共。かくぞとつげしらす れは。いそぎ宿に立かへり。此有さまを見まいらせ。御なげ きはことはりさりながら。さのみ取見ださせ給ひては。さらに 事行侍らじ。爰をばわれらに御まかせ候へ。宝(たから)は身のさし袷(あわせ) 壱つ爰に候とて。小びつの中より。もめんのあわせを取出し。 あたりちかき質(しち)屋にあづけておあしをかり。其用意を しすまし。近所なれは。かうじゆさんびんらうしの。につ けい上人をたのみつゝ。むしやうのけふりとなしにけり。扨