翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

木斎咄医者評判 5巻 - 翻刻

木斎咄医者評判 5巻 - ページ 56

ページ: 56

翻刻

理(り)なれとも。たばこの火/落(おち)て。畳(たゝみ)なとやくるには 時に有あふ湯(ゆ)にても酢醤油(すしやう)をかけてもきへな ん。されば火なりと見付るが大事。それが医学(いがく) と云物しや。それを又かさねて。火事のとき用ひ て役に立べきか分別(ふんべつ)しゐへ。世帯(せたい)道(たう)具にて 申さば。妙薬(めうやく)は七つ体なり。七つ体と云ものは。心 やすき方へは。重箱(ちうはこ)にも用ひ。めしつぎにも なる。料理(りやうり)の切(きり)きざみの時には体につかふ。されと もおしきてゝの用に不(す)_レ立(たゝ)。又いしやの病を見て それに応(おふ)じて調合(てうがう)する薬は。たとへば遊山見物 の。はれがましき所へ出す。まきゑなしぢの重箱 のごとし。此とき七つ体は用られぬものなり妙薬に なづむは。守(まもる)_レ株(くはせを)と云がごとし。是(これ)は兎(うさぎ)ひとつ何としてか 株(くい)の上に死(しに)て有を。ひろひて。その株が兎をと りたると覚へて。おろかなるものが。守居(まもりい)たが終(つい)に 其後(そののち)はうさきを得ざると。妙薬の験有(けんある)とは同じ 事也と。こじゆんらしくかたられば。人々大きに 退屈(たいくつ)し。きゝ秋(あき)の夜(よ)の長物(ながもの)がたりに。夜はほの〳〵 とぞ明(あけ)にける