翻刻
木斎咄医者評判(ほくさいはなしいしやひやうばん) 五
寸白(すんばく)の虫(むし)下す事
舟人(ふなひと)のすゑ。つなの養性(やうじやう)
或(ある)あした。門(もん)の辺(ほとり)に。鈴(すゞ)の音(をと)するを見れば。ふとく
たくましき。小荷駄(こにだ)壱/疋(ひき)ひきたつる。是はいかにと
見る所にさもありげなる百姓(ひやくしやう)。もみでになりて
爰(こゝ)は木斎さまの。御宿所(ごしゆくしよ)にて御座(ござ)候かと云程(いふほど)
に中々(なか〳〵)是也。いづかたよりの御尋(たづ)ねぞといへば。拙(せつ)
者(しや)は八王寺/辺(へん)より参り候。私(わたし)の旦那(たんな)。木斎さま
の御事/承(うけたまは)り及候。御無心申上度とて。御/迎(むかい)の駄(だ)
馬(むま)をさしこし候。御/来駕(らいか)におゐては。旦那(たんな)/本意(ほんい)