翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

木斎咄医者評判 5巻 - 翻刻

木斎咄医者評判 5巻 - ページ 7

ページ: 7

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有べきにあらざれは。わすれがたみの見とり子をば。竹三郎と 名付て母なし子なれば釈(しやく)尊にあやかれとて。あたりの かゝたちの乳(ち)をもらひ。又はすりこなどして。そたてける こそあはれなれ。にらみの助はさいかく不 双(そう)の思の者。町内の おうばたちに近付。色々さま〳〵の。はなしをしかけちな みて。ある時はうゐらうをつませ。又有時はてうじゑんを なめさせ。心やすくしなして後。その御子様をばわれらの いだき侍らん。すこしの内此子に乳(ち)をもらかしてたまはれ。 此御礼にはやみいたみの其時は。御薬をば何程も参り しだいと。油口をすべらせてたのみ。あなたのおうばたちの おかげにて。無(なく)_レ恙(つゝが)そたて行程に。月日に関(せき)のすはらねは。 其年も程なく暮。あくる春の元日にぞなりにける  第二 さじをいたゝくも心有事    貧乏(ひんほう)神はおちこちに不_レ居 去程に竹斎は。去年の無仕合は。去々年(おとゝし)の節分(せつぶん)に。悪事 さいなんは。西の海へざらりとすて。寿命(じゆめう)は。五百八十年。七 まがりとはいわひけれ共。妻(つま)は旦那(たんな)寺へさらりと送(おく)り。 二たびあわで過しかなしさ。万事は夢の内の。あだしみ なりと打さめて。うつゝながらもうき年月をこへしぞかし。 今年よりは仕合よかれ。有がたやとて後方にむかひ。 さじを三/度(ど)いたゞき給へば。にらみのすけ申やう。こはいか にいしやにて後世(ごせい)をするからは。さじにかぎり侍らんや。