翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

木斎咄医者評判 5巻 - 翻刻

木斎咄医者評判 5巻 - ページ 8

ページ: 8

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薬種(やくしゆ)も医(い)書も。薬箱も。皆たうとみ給へかし。但(たゞし)それ まても候まじ。薬師如来と神農(しんのふ)の。御かげを拝(はい)し 給へば。それにてすみ侍るべし。心得ぬさじの。いたゞきやう かなとぞ申ける。竹斎きかれて。いかにも汝(なんぢ)がふしん尤也 さりながら。是には心有事ぞ。汝(なんぢ)はわれらが親。竹庵(ちくあん)代(だい)より の伝(つたは)りもの我八さいの時かとよ。汝生れて此年月。片(へん)時 そばをはなれぬは。汝と貧乏(ひんぼう)神と也。かゝるなじみの 主従なれば。いかでか心をへだつべき。さらば語りて きかすべし。今の御代の御/政(せい)法。たゞしきにつけて思ふに。 人壱人を害(かい)しても。其/罪(つみ)のかるし事あらじましてや 況(いわん)あまたの人を。殺害(さつがい)せしにおいてをや。穴賢(あなかしこ)さたばし すな。我(われ)ら程人をほく。ころしたるもの又もあらじ。されども さじのあやまりなれば。御せんさくにもあはさる也。刀か わきざしにてころして見よ。何とて只今まで我(わか)命(いのち) 有べきや。爰をもつてあんずるに。さじの御かげほど。有 がたき物はあらじとぞおもふと。眉(まゆ)をひそめてかたらる れば。にらみのすけ承(うけたまは)り。左程の利句儀(りくぎ)あきらか にて。せめてぬか米二三/俵(ひやう)年の暮(くれ)に。薬代とらせ給はぬ こそ。かへす〳〵も口惜(くちほし)やとて。ちつともしほれぬまなこ より泪(なみだ)をはつらはらとぞながしける。竹斎是を見 給ひわかれた今のなき事や。こぞなきしさへくやし きに。いざや元 朝(てう)いわゝんとて。餅(もち)なきぞうにの汁を吸(すい)