翻刻
まかせおしはかり給ふへしかへす〳〵もおさなき物よきにもりそたて我ちくしやうかくるしみをた
すけさせたひ給へ《割書:いろ| 》あゝ扨むさんやおさなき物かよるにもならははゝよ〳〵〳〵と尋ねしたはんこと
共を思へは〳〵かなしやと其まゝわかに取付てせんこふかくになくばかりやう〳〵心を取なをしおさ
なき物かおくれのかみをかきなて扨々ふひんやみつから出るをゆめへもしらて《割書:ふし| 》かくゆたかには
やどりけるよ本のすみかへ帰りても此なり【子が?】事を思ひ出さは《割書:いろ| 》いか斗かなしかるへき思へは〳〵
おや子のゑん是かかきりかあさましやと又ひれふしてぞなく斗され共かなはぬとなれは
かきし文とうしかひほにゆひ付そは成しやうしに一しゆの歌をつらねけり《割書:ふし| 》▲こひしくはたつ
ねきてみよいつみ成しのだのもりのうらみくずのはとかきとめじこくうつりあしかりなんと心つ
よくも思ひ切なく〳〵かへりし有様あはれ也ける次第也扨其後若君は夢にもしらすゆたかに
ふして有けるかめを打さましあたりをみれは人はなしのふ母うへのふ母上とかなたこなたをたつ
ぬれとも其かいさらにあらはこそわか君いよ〳〵あくがれやれめのとはなきか母上の我をす
てをきいつくへやらんゆかせ給ふ《割書:いろ| 》のふ今ゟ後は仰をそむき申ましあしき手わさもいたすましの
ふ母上さまとすてゝ行しをしらすしてつねのおとしと心へあしずり【=じだんだを踏む】したる有様諸事のあはれ
と聞へけるめのとおとろき是はいか成事やらんと申所へ父のやすなのべゟかへりいかにどうじ何をな
けくそ【、】のふ父うへさま母のみへさせ給はぬと《割書:ふし| 》すかり付てなくばかりやすな其まゝいたきとり
やれめのと何たるしさいそいや何共そんせす候やすなふしきに思ふ所にせうしに一しゆのうた
有《割書:ふし| 》こひしくは尋ねきてみよいつみ成しのたのもりのうらみくずのはと有《割書:色□…| 》むね□□□□□□
ふしきはれやらす又おさなき物かきぬのひほにふみ有是をみれは□□□□しのたのもり□やかん
也しが一命をたすけられ其おんのほうぜんためゑんのむすひ七とせ迄すこす□□□今更□□申
ことあさましやみつからかあらぬかたちをおさなきものにみ付られ有にもあられず候かへす〳〵もおさな
き物を頼とのぶんていよみもあへず是は〳〵と斗也御涙のひまゟも扨はいつそやしのたにてたすけ
たりしやかんおんをいとらん【おんをおくらん?】とひ女【美女】とへんしそれかしかめい【命】をすくふてさま〳〵とはこくみ【育み】たるかやさしきや□□□ち
くるいなれはとて此とし月のなさけの程何しにうとみはつべきやまだいとけなき此子をふ
びんとは思はすしいづくへか行つらん思へは〳〵かなしやとかきくどひてぞなげかるゝむざんやおさなき物のふ
父上様もはや日もくれ候かはゝは帰らせ給はぬは【、】のふはゝのまします所へつれゆかせ給へやとわつとさ
けふ□□そ父もめのとも其まゝに《割書:ふし| 》ぜんごふかくになきいたりやすな涙をおさへおふ〳〵どうりかな
ことはりやいかにめのと此ていにては有にもあられずこよひしのたのもりへ立こへ何とそ此子か母に
あひ今一とともないたく思ふ也おことは跡のるすを頼也いかにどうじあまりおことかなけくゆへ□母を
尋ねに出るかなんちも共に行べきかたゝしめのとにいだかれ跡に残りてあそはんや若君聞召《割書:いろ| 》のふ
母上様に合せて給はらはいつくへ也共参らんと《割書:ふし| 》すかり付てなげかるゝやすなふひんに思召おゝ其
きならはつれ行て一とは合すへしこなたへ参れとよはにまきれしのひ出しのたのもりへそ《割書:三重| 》いそき
ける爰にあはれをとゝめしはあべのとうしか母上也本ゟ其身はちくしやうのくるしみふかき□の上に
猶うき事のかさなりて思ひのたねと也やせんいとゝ心はうば玉のよるのふしとにおさな子の□や□
らみてさこそなけくらん《割書:いろ| 》ふびんや《割書:ふし| 》とこかるゝゆへか《割書:下?| 》露も涙もとゞまらて行道さらにみへわ□す□立
わづらうそあはれ成《割書:ふし| 》頃しも今は秋なれはちくさに【千草に】すたく【集く】むしの声《割書:ふし| 》□れ〳〵に成てつらきうきことの
【1行汚れとかすれで読めず】