翻刻
□□はおしねもりからしの□□みゆるをも《割書:いろ| 》もしかり人や有らんと《割書:□□□□| 》心ほそさはかきりなしよう〳〵□
とり行程に我すむもりも近付ぬ爰にかりうとのいつもかけおくきつねわな様□のへかけ置
たりさすかちくるいのあさましさ心にこめし《割書:ふし| 》其かす〳〵のこと共をはたとわすれ其まゝ心うつり
つゝとやせんかくやと身もたへして《割書:ふし| 》しどろもとろのあしもとにて立ゟかさをぬぎすてゝ上成小袖のたも
とをかさすとみればたちまちにやかんと也てくるいしは何にたとへん《割書:三重| 》かたもなしかりうと様々手をくだ
ひてつりとらんとしけれ共心きいたるやかんなれはかへつてかりうとをわなへおしこみ其身は立のきう
れしけにおとりくるひて其後は我かすむもりの草村に《割書:ふし| 》入てかたちはなかりけり所へあべのやすな
おさなきものをいだきしのだのもりに来りしかやかんのすみかいつくならんとあなたこなたとさまよ
へ共たま〳〵こととふ物とてはとをきの原のむしのこゑ秋かせ渡るくすのはのうらみのたねをや残すらん
やすなあまりの物うさにこゑを上やれ此子か母はいづくに有ぞわすれがたみの此若かあ
まりにこがれしとふゆへ是迄尋ね参りたり今一どみゝへおさなき物かなけきをとゝめゑさせよと
《割書:ふし| 》かきくどきの給へとこととふ物は更になしとうし待わひのふ父上様かくおそろしき所にいつ迄まします
母上様に合せんとの給ひしかいつわりにて候な《割書:いろ| 》あゝ扨母上様のふ母上とよばはる声にさし物や
すないとゝ心もきへ〳〵と《割書:ふし| 》せんごふかくに成にけりやすな力およばす扨々ぜひもなしいかにちくるいなれは
とてせめておもかげ也共まみへずし心つよきこと共やよし〳〵いつ迄なからへんしよせん此子をさしころしわ
か身も共にしかいしてうき世のきつなをのかれんといかにとうし母は此よになきにゟ父は只今爰に
てしゝて母にあふがなんぢも共にしすべきか《割書:いろ| 》のふ母うへ様にあふならはころしてたべとぞなげかるゝ
やすな心はそかれ共力及ずこしの太刀をするりとぬきすでにさしころさんとすうしろをみればやかん
あらはれ《割書:ふし| 》なみだにくれていたりけりとうしみてのふおそろしやと其まゝ父に取付はあふたうり也いかに
それ成はどうしか母にて候な其すかたにてはどうしもおそれをなす有しむかしの姿にて若をなく
さめたび給へ其時やかん【、】と有こかけのいけみづに姿をうつすと思へは其まゝ女のすがたと成とうし是
をみてのふ母上様といひもあへずいだき付は母も共にいだき上あゝ扨何しに爰迄来れるぞ又々
うきよのもうしうにひかるゝ事のかなしやとすがり付てなくばかりやすな涙のひまゟもかりそめ
にあひなれていくとし月をかさねたとへはいか成こと有共何しにうとみ申べき此わかがふびん也今一とさと
へ帰りせめて此子が十才迄もりそだてたび給へ母涙ながしらされば此若十才は扨置一ごそひはてた
く候へ共みづからか身のうへは人間にましはり一たびすみかへ帰りては又おなしやへ立もとりすむといふ事
かなはずなごりはつきぬことなれどはやとく帰らせ給ふへしさりなから此若世のつねのにんたいならす
せいじんの其後は人をたすけよを道引天下に一人の物と也候はんいて此若ににかたみをとらせ申へしとてずか
ら四寸四方のこかねのはこを取出し此はこと申はりうぐうせかいのひふ也是をさとりておこなは
ば天ち日月人間せかいあらゆることを手の内にしる也とあたへ又すいしやうのことく成かゝやく玉を
取出し此玉をみゝにあて聞時は鳥けだ物のなくこゑ手に取ことくに聞しり様々きとく
是おゝし今ははや是まで也はやとく〳〵と有けれはやすなも今はことはりを聞からはいかてまよ
ひ申べき心やすかれ此若を天下に一人の物となし御身のくるしみはらさせ参らせんいざこなたへとお
さなき物をいだきとれは《割書:いろ| 》いや〳〵父にはいだかれましいなや母上とゝめてたへと取付をされ
共やすな心つよくも引はなち有し所を立されはおさなき物は声を上《割書:いろ| 》のふ母上となき
さけぶ母もなく〳〵跡に付【、】しはしか程は来りしかもはや是ゟかへる也やれおさなきものよ是かこん