翻刻
めいうらかたはしそんじたりとつゝやきさゝやきたかいにめとめをみ合只せいめいがかほゝまもつていたり
けるたうまんしすましたりと悦び何と人々いつれかちかい候はんさだめてそれかしかうらない□□□□
いつらんいかにせいめい殿只今申上られしにへつにかはりは候はぬかふたを取て其後かまいてく
やみ給ふなといきをいかゝつて申けるやすなも今はせき色に也ひたいにあせをなかしやれせい
めいかわることは是なきか必そつし【卒爾=早まった事を】申なとせき切りてそ申けるせいめい少もさはかす御きつかひ
有べからすいそきふたを取給へと申ぜひなく人々立よつてふたをとれはかうしはなくしてねすみ
十五匹かけ出る四かく八方へかけまはる其時さいせんの二匹のねこ【、】かのねずみをみるよりも其まゝ
かけ出おつつめ【追っつめ】ほつかけあるひはくわへてふりまはしかなたこなたへとひめぐれはみかとをはしめく
け大臣后くわんじよもろ共にみすもきちやうもざゝめきて扨々 きとくのせいめいやとかんし給
ふ御声《割書:ふし| 》しはしはなりもしつまらずはしめいさみしだうまんはせいめいかてしとしほ〳〵と御前を
立扨せいめいには数のほびを給はりやかて御前を罷立は父はうれしくあゝ仕りたりせい
めい《割書:いろ| 》我子なからもふしきの物やとあをき立〳〵やかたをさして帰りけるやすなかうれしさせい
めいかきどくの程ためしまれ成そう人【相人=占い師】やと皆かんせぬものこそなかりけれ
第五
だうまんほつしはもい井【?】のにはのあらそひにまけあけくれしんいをこかしらうどうを近付いかに
汝ら今度それかしせいめいとうらかたのせうぶにまけしことあまりにき□つ【きやつ?】をあなどり【、】か
うまん【高慢】さしおこり思はずもちじよくをとるぐわんらいきやつ原はわか弟の敵といひかれ是
もつていかて其まゝをくへきやまつやすなを打へししかしそつし【卒爾】に打からは我身のうへも大事也
只けいりやくにしくはなしいかゝはすべきと仰けるらうとう共承り尤かな此度のき我々まて
口おしく候とかくはかりことが然へしと申上るたうまん聞きてさいわいのことこそあれ御尋ね被成へ
きこと有と則ゆふさり某もせいめいも一所にさんだい申也此跡にてみかとゟちよくしのていに
まなびよに入てやすながたち【館】へ行きん中ゟのせんし也いそぎさんだい仕れとたはかり一条のはし
の下にふせせいをかくし置くたんのはしいた【橋板】引はつしやすながおつる所をおりあひ思ふまゝにしお
ふせ何物のしはざ共しれぬやうにいたすべし本ゟわれはせいめいと一所に御てんにあひ
つむれはうたがいも有るべからず其後せいせい【せいめい?】をもちりやくをもつてほろぼさん此ぎいかにと
仰けるらうどう共尤よろしき御けいりやくもはや日もくれ候はん其やうい仕らんだうまん悦ひ
さあらば山下伝次はきりやうすくれたれは【器量優れたれば】まづちよくし【勅使】のよういこしらへよ畏て内に入やかてし
しやうそくあらためて出ければだうまんみて【、】おふよくにせたりもはや時もいたれは我はたいりへさんだい
せん皆々じぶんはからひ【時分計らい】打立へしとちりやくのようい申付其身は何となくきんりをさして上りし
はおそろしかりける《割書:三重| 》たくみ也されはにや清明はみかとゟの御とし【御めし?】とてやがてさんだい仕るやかたには
父上らうとう共召しあつめよものはなし有所へたうまんか方ゟくだんのちよくし来つてあんないこい
やすなにたいめんし君ゟのせんし也其方おや子に仰付らるへきむね有則せいめい御てんにあ
ひつめたりいそきさんだい有へきとのちよくぢやう也やすな畏おつ付さんたい仕らんとちよくしを
かへし供人少々召くして其まゝやかたを出にける今ははや一条のはしにさしかゝりすでになかば
渡る所に下ゟ板を引はつせは中よりとうとおつる【。】かくれいたるせい共どつとおり□□こと〳〵
く切ふせたりやすな大かう【大豪?】の物なれ共はしゟはおとされつ□□かへりなはすゑゝむねん□□