翻刻
三度の食気惣身へよくめくれは無病長命
なる事疑ひなし其仕方いかゝといふに
腹と口とは好む処うらはらなり腹の好む
処にしたかへは無病安泰也口之好む処に
よれは万病発也先腹は寒冷を好み美味を
好まず口は腹【暖の誤記カ】熱を好み麁食を好ます人々
口の好む処に随ひ病を求め命を損る事
多し腹の意による時【?】は天性の道理に叶ふ也
其故は天地開初たる時生あるもの一体也其中に
人は万物の長にして知恵ある故に寒暑の
凌き方食物等万事己か耳目鼻口の好む処に
工夫をなし末世に至る程自在自由に成て
後は病を生し命を失ふ事心付す外の生類は
天性のまゝにて知恵もなく己か食物と備りたる
所の喰物を喰ひ偶然たる故病も生せす千鶴
万亀の齢ひを保つこと道理也知恵あるも