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コレクション: コレクション2

国字断毒論 1巻附1巻 - 翻刻

国字断毒論 1巻附1巻 - ページ 19

ページ: 19

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【右頁】 たき塲(ば)へ用(もちゆ)る薬方(やくはう)の類(るい)は予(よ)か著述(ちよじゆつ)の省方類鑑(せいはうるいかん)にくはしく載(のす)前(まへ)にいへる如(ごと) く此病(このやまひ)は傅染(でんせん)してばかり病(やむ)なれば其(その)毒氣(どくき)に觴染(ふれそま)#1ざるやうにすれば夫婦(ふうふ) といへどもうつらず痘瘡(とうさう)痲疹(ましん)よりものがれやすき病(やまひ)なり又(また)此病(このやまひ)に怪(あやしむ)べき事(こと) あり其(その)毒氣(どくき)に染(そみ)て後(のち)には骨(ほね)をくさらし筋(すじ)をやぶり其(その)子にまで傳(つたへ)るほどの 毒氣(どくき)をもちながら數年(すねん)を經(へ)ても身中(しんちう)に伏(ふし)かくれて痛(いたみ)かゆみもなく其(その) 身(み)も無病(むびやう)なりと心得(こゝろえ)身中(しんちう)に黴毒(ばいどく)のあるをしらず是等(これら)の辨(べん)は後(のち)にくは しく記(しるし)て此(こゝ)に畧(りやく)す     疥瘡(かいさう|ひぜんかさ)の濫觴(らんしやう|はじまり) 疥瘡(かいさう)も痘瘡(とうさう)痲疹(ましん)黴瘡(ばいさう)の如(ごと)く古(いにしへ)なき病(やまひ)にして沴氣(てんき)を異國(いこく)の人身(じんしん) に結(むすび)人(ひと)より人(ひと)に傅染(でんせん)していつの比(ころ)よりか 【左頁】 日本(につほん)にも傳來(つたへき)しなり此病(このやまひ)黴瘡(ばいさう)とおなじく下々(げ 〳〵)の行義(ぎやうぎ)よからぬ家々(いへ〳〵)をうつりめぐり て世(よ)の中(なか)に絶(たえ)ざる病(やまひ)なり古書(こしよ)を考(かんがふ)るに疥(かい)の字(じ)は瘡(かさ)の名(な)にあらず一日間(いちにちはざめ)の瘧(ぎやく)の 名(な)なりしを中(なか)むかし癩病(らいびやう)癬(たむし)の類(るい)すべて肌膚(きふ)鱗(うろこ)だちて見(み)ぐるしき病(やまひ)を疥(かい)とい ひしなり又(また)はるか末(すゑ)の世(よ)に今(いま)の疥瘡(ひぜんかさ)傳(つたはり)しをかの中古(なかむかし)の疥(かい)と混(こん)じて醫書(いしよ)にも 疥癩(かいらい)疥癬(かいせん)などつらねて書(かき)しは病證(びやうしやう)を明(あきらか)にせざる誤(あやまり)なりくはしき事(こと)は前編(ぜんへん)にしる して此(こゝ)に畧(りやく)すおよそ文字(もんじ)は古(いにしへ)より體(てい)もさま〴〵 にかはりし故(ゆゑ)に誤字(ごじ)もあり俗字(ぞくじ)もあり あるひは其物(そのもの)と其字(そのじ)と違(ちがひ)しもありて正(たゞし)からざる字(じ)おほし字(じ)は物(もの)の名(な)なり名(な)正(たゝし) からざれば物(もの)もあきらかならず物(もの)と名(な)とをあきらかにするは學者(がくしや)の専務(せんむ)なりし かれども俗習(ぞくしふ)となりては改(あらため)がたきもの有(あり)無(む)の字(じ)の如(ごとき)はかの書(しよ)を焚(やき)儒(じゆ)を坑(あな)にせし 秦(しん)の李斯(りし)か作(つくり)し字(じ)なれば儒者(じゆしや)にはきらふべきなれども通用(つうよう)するがごとし疥の