翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

難船人帰朝紀事 - 翻刻

難船人帰朝紀事 - ページ 5

ページ: 5

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【右丁】 一 同六日右出帆南沖へ乗出しは拼縄にて小魚少々釣揚け件の沖なる白浜に   懸り夜を明す  【薄い字で】同七日早 一 同七日早朝地嵐に沖ノ方へ乗出し行内風治る船二十艘程有之其船々は   沖高く乗出せとも伝蔵船は艪手弱き故足摺山より六七里沖合にて縄   を拼鯖を釣揚る場合昼頃坤風吹出しけれは縄をあけ帆にて地方へ寄らんと   するに又泙【?】になる拼縄に懸る折節北西風吹出し海上以之外あしきゆへ   拼縄半分は切すて地方へ漕寄らんとすれ共風益強く心の侭に船扱出来   す一同力を尽し相働くと雖く【?】艫艪おれかしはつれけれは身縄にて船梁へ   括り付んと周章騒く内二十艘程の類船は皆々先に相成大に落さかり精力   を尽し艪を押立んとすれとも艪折れ気力も労れ弥増船自由に得扱はす   帆を少し計揚て地方に向はんとすれ共波風烈敷日暮に随ひ船を保ち難き程の   大浪になり色々として相凌夜を明す 一 同八日夜明方に地方を望めは室津の沖と覚へ遥に人家見ゆれ共艪は折れ   たり流れたりして地方へ寄るへき手立もなくかわる〳〵あかを取て凌き居る 一 同九日西北風にて昼大時化【右に「本のまゝ」】に成夜前の大浪に水も瀬になり其水にて/粥(カユ)   を焚釣溜の魚を煮て一同に給へる此説寒気難堪着用はぬれ皆々凍へ其中 【左丁】   重助五右衛門手足叶はす伝蔵楫を取り虎右衛門万次郎垢を取風波を凌し 一 同十日風波少々泙【?】風北東風に変り雨降候付苫を葺き雨を凌き少々残りたる   米にて粥を焚魚を煮て一日に給る右薪なけれは敷板を砕き薪にす風又   変り雨風になり船流るゝこと飛か如し 一 同十一日西北風大に吹此節米払底水はなし飢渇に及ふ 一 同十二日風昨日のことし鴎大分見ゆるに付島山近くなるらんと一日に咄し合   て楽しむ 【薄い字で】同十三日大アナセ弥増高【以降不明】 一 同十三日大アナゼに成浪弥増高くなる昼頃寅右衛門巽の方当り島を見出   し一同気力を取直し大に力を得て神仏へ立願し風を真艫に受て島影を   目当に帆を揚け走るに瀬早く船をます甚難儀致す此時伝蔵楫を取り身   縄を切放せは寅右衛門重助帆を取込み万次郎はあかを取る五右衛門は手凍へて   得働かす無程日暮に成て漸島近く寄せ来と【?】を風波荒く磯辺に着ること   叶はす碇を卸して掛留んとすれとも底波石ありし故船かゝり難しよつて   腕の折れたる艪を調義して島を廻りて見るに岩石勝にて嶮岨なり磯ゆへ着   場あしく漸一と処船着を見付此所に漕寄碇を卸し船にて夜を明す 一 同十四日早朝島へ游き上る水を尋んといふ大成鱶夥敷居るを見て皆々恐れ