翻刻
序
十返舎の膝栗毛(ひざくりげ)千里(せんり)にはせて今に留(とゞま)らす
日々に盛(さかん)也/其衆(そのしう)馬(むま)に乗(の)らんとすれと短才(たんさい)しばし
鞍(くら)にたまらず落馬(らくば)せん。其落(おち)た所之火打石(ひうちいし)と
思ひつゐたる医者(いしや)ぶりげ当世(たうせい)の穴(あな)をさぐるに
ものみなふり省て所謂古今万葉のいにしへぶり。
かん〳〵踊(をとり)の長崎(なかさき)ぶり江戸子(ゑどつこ)紛(まがへ)のきいた風流(ふり)。都(みやこ)の
手ぶり。天(あま)さがる鄙(ひな)ぶり。廓(さと)ぶり。丹後(たんご)鰤(ふり)。木(き)ふり