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いふてもとんと腹(はら)も立(たて)ず。よふなれたものじや。なんでも
よつほど元手(もとで)の入つてある御方(おかた)。そふしてゑらひ粋(すひ)じや。
真(ま)ことに真綿(まわた)か羽二重肌(はふたへはた)じやなとゝ誉(ほめ)そやすべし
但しごくどうのくせにゑらひかんしやくもちで。其くせ
にゑらひ。へんくつものもあるものなり。是ハ格別(かくべつ)の
沙汰(さた)一向/論(ろん)なしといふもの也
○/女子(によし)は生(うま)れつきのよきもあり。あしきもありさま〴〵
なれども顔(かほ)の内(うち)に眼元(めもと)が可愛(かあひ)らしか。鼻(はな)すぢが
よふ通(とを)りしとか。色(いろ)が白(しろ)ひとか何(なに)なるともとり所(ところ)が
あるものなれバ其中(そのなか)にていつちのよき所をさして
アノおまへさんのやうな。目(め)もとの可愛(かあい)らしいおかたは。
めづらしい。めつたにあるものでハないなどゝいふて誉(ほむ)るべし
既(すで)に聖人(せいじん)も悪(あく)をこらさず。善(ぜん)をあげよと。のた
まふ也。されども又/一向取(いつかうとり)どころもなひ。実(まこと)の本直打(ほんねうち)
なしと云(いふ)女子(おなご)なれバどこやらに。思ひ入(いれ)が有(あつ)ていふに
いわれん所(ところ)がうまさうで。好味(こうみ)のありそふな御/方(かた)
じやと云(いふ)てほむるべし