翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

当世医者風流解 3巻 - 翻刻

当世医者風流解 3巻 - ページ 94

ページ: 94

翻刻

おはんハ大きに驚(おどろ)きヲヽイヤといひけれバ敷安(しきあん)心(こゝろ)どき 〳〵いかゞハせんと思ひしが心をふたゝび取直(とりなを)しホンニそれ〳〵 誠(まこと)哉(や)加賀(かゞ)の千代(ちよ)女か句(く)に。思ふ人にいやと女(をんな)のつみ ふかくとよみしこともありされバ。女のいやハやはり得心(とくしん) したる枕(まくら)ことば也と思ひ又々/再(ふたゝ)び思ひ切(きつ)たる其振(そのふる) 舞(まひ)今度(こんど)ハおはんも大きにびつくり仰天(ぎやうてん)し大声(おゝごへ) あげてヲヽいや〳〵〳〵とむつくと起(おき)てあきれ果(はて)て 逃(にげ)て入足音(いるあしおと)敷安(しきあん)が耳(みゝ)にハ雷(かみなり)の落(をち)たるごとく 面目(めんぼく)を灰(はい)にまぶし。きせる田葉(たば)こ入も打忘(うちわす)れ、ろく〳〵 に暇乞(いとまこひ)をもせずして足(あし)を宙(ちう)にして己(をの)が家(いへ)にで 逃帰(にげかへ)り倩(つら〱)思ひけるハ。古人(こじん)の金言(きんけん)をも忘(わす)れ加賀(かゞ) の千代(ちよ)女のいひしこともとんとあてにならずと。偏(ひとへ)に 千代を恨(うら)みけるが発句(ほつく)を実(まこと)とし外聞(ぐはいぶん)を灰(はい)に まふせしことも。これみな千代がうそのかわより出(いで)たり と己(をの)が臭(くさ)みを棚(たな)にをきひとへに千代(ちよ)女を恨み(うらみ)ける ○