翻刻
【右丁】
粟津(あわづ)が原(はら)
今井戸(いまいと)の怪
むかしあふみのくにあはづがはらと
いふところにいまいどといふ大きなる
てんい【天井】ありきんじよにかねひら【注】と
いふ大りきの大おとこありしがひころ【日頃】のはい
ぐんにみをせめられぢんかね【陣金カ】のさいそくを
たび〳〵うけてしよせんかなはぬいのち
なりとてつるぎをのどより
つきとをしいまいどの
うちへみをしづめけり
たる
に
より
て
【下部】
そのもふねんのこりかぜのあした
あめのゆふべにはい【井】のうちよりいでゝ
つるぎをぬいてくれよとさけぶこへ
いとくるしくぞきこへけるあるたび
そう【旅僧】このところへきかゝりふびんに
思ひ十ねん【十念】をさづけければ
そのまゝじやうぶつし
たりしとぞ
【左丁絵のみ】
【今井兼平=木曾義仲の家来。木曾四天王の一人】