翻刻
気(き)をやりしが今又(いまゝた)何処(どこ)へあたりしやひときはたぎりし喜悦泣(よがりなき)《割書:ハア〳〵| フウ〳〵》スウ〳〵とへのこ
のあたまへ子宮(こつぼ)の口(くち)すりつけ〳〵がば〳〵と子宮(こつぼ)の奥(おく)より滝鳴(たきなり)して湯(ゆ)のごとくなる
陰水(いんすゐ)をへのこの雁(かり)のてつぺんからかけたかと問(と)ふ開伽(ぼゝとぎ)す日頃(ひごろ)つゝしむ溜淫(ためいん)を一度(いちど)に漏(もら)
してづき〳〵とどこもかしこもうづき頃(ごろ)垣(かき)の卯(う)の花(はな)それならで雪(ゆき)と見(み)まがふふ
き捨(すて)の閨(ねや)に花(はな)ちる麝香紙(じやかうがみ)橘(たちばな)の香(か)もものかはならんか
須磨(すま)
うきめかるいせをのあまも恋(こひ)そめて曳手(ひくて)あまたのかつら男(をとこ)に兼て思ひをこ
がしたるよしある人(ひと)のまな娘(むすめ)塩屋(しほや)の煙(けふり)たへまなき心(こゝろ)をそれと汲(くみ)て知(し)る塩(しほ)
くむ蜑(あま)のとしまの女(をんな)なかをとりもつ情(なさけ)知(し)り。ともなひつれて能(よき)しほに通(かよ)ふ
千鳥(ちどり)の磯(いそ)づたひいそ繰り返しとしてかの蜑(あま)の粋(すい)な心(こゝろ)を娘気(むすめぎ)に結(むす)ぶの神(かみ)と手(て)を合(あは)
せ〽いつの世(よ)にかはこのお礼(れい)〽ハテわつけもない其様(そん)な事(こと)いふているそのひまにち
やつと〳〵ト気(き)をせけど逢(あ)へばなか〳〵ことばさへ口(くち)へは出(いで)ぬおぼこ気(ぎ)を。としまはそば
【柱題】五十四帖中□二