翻刻
あきぬつらさをわすれぐさ〽わしや此様(こん)な所(とこ)ではいやじやへ〽ハテだんなは誰(たれ)も来(く)
る事(こつ)ちやないわしも浪花(なには)生れのちやき〳〵ぢや今日(けふ)一日(いちにち)は爰(こゝ)のさびし事(こと)
承知(しやうち)でそもじをさそふて連立(つれだつ)て来(き)たも此たのしみ仕(し)ようばかりぢやマアち
やつと爰(こゝ)へもたれたがよい〽此(この)反橋(そりはし)へかいな〽そうぢや。まそつと前をひろげいな
〽そぢやてゝわしやはつかしい〽ハテ誰(たれ)も見(み)るものはありやせんがトそりはしへよ
せかけて娘(むすめ)の前(まへ)をぐつとまくりあげ割込(わりこみ)ながら其(その)身(み)も前を引(ひき)まくりふん
どしをはづしておへきつた一 物(もつ)をぴんといだし棹(さほ)を握(にぎ)つてへのこのあたまへつば
きをこて〳〵ぬり廻(まは)し其(その)まゝぬつと入かけてすり〳〵とやりかけるに娘も初(はつ)
の事ではなし下(した)からもじ〳〵持上(もちあげ)〳〵目をぬぶりスウ〳〵〳〵ト鼻息(はないき)せはしくアヽ
もうじきにいくわいな〽アせわしないまそつとこらへて一 所(しよ)にやりイな〽そぢやてゝ
アヽ〳〵どうもならんフウ〳〵〳〵アヽつい行(い)たわいな〽もうやつたかいな。のつけからゑらう
出(だ)したさかいぐしや〳〵していつこやくたいぢや〽うそいゝなはづかしい〽ヤそうかういふ