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出合(いであは)せ立(たち)ならんで槍(やり)をとり。間々(あひだ〳〵)に隊(そなへ)の頭(かしら)と見(み)えたる者多(ものおほ)くの人数(にんず)を下(げ)
知(ぢ)し。すはと云(い)はゞ討取(うちとれ)と云(いわ)ぬ計(ばかり)の顔色(がんしよく)なり。康廣(やすひろ)は元來(もとより)かゝる事(こと)異(こと)なる
とも思(おも)はねば手(て)の者(もの)どもに下知(けぢ)をなし。左右(さいふ)に眼(まなこ)をくばつて静(しづか)に馬(うま)を乗(のり)
すゝめ。すでに仁同(じんだう)と云所(いふところ)に到(いた)り付(つ)く時(とき)。其(その)路辺(みちのべ)の鎗(やり)とる者(もの)を急度(きつと)睨(にら)んて
馬(うま)をひかへて。から〳〵と打笑(うちわら)ひ汝(なんち)が輩(ともがら)の持(もつ)ところ槍(やり)の竿(ゑ)はなはだ短(みじか)し。それが
人(ひと)を衝(つ)くやくに立(たゝ)んやさても油断(ゆだん)なる抱(かゝ)へやうやと。高声(たかごゑ)に物(もの)いへば人歩(にんぶ)ど
も物言(ものごと)の通(つう)ぜぬゆゑ。何言(なにごと)とはわきまへねども。康廣(やすひろ)が眼(まなこ)つきの冷(すさま)じきと高声(かうしやう)
に笑(わろ)ふとの其様(そのさま)に。肝(きも)つぶしあきれかへりて居(ゐ)たりしが。左右(さいふ)に立(て)てる己(おの)が達(たち)と舌(した)
をまきたる顔色(がんしよく)す。かくてこゝをも過通(すぎとほ)り程(ほど)なく尚州(しやくしう)に着(つき)たりけり。此所(このところ)の
牧守(くにのかみ)宋應洞(そうおうとう)と云(いへ)る者(もの)の。康廣(やすひろ)が馳走(ちさう)のため待(まち)うけの旅館(りよくわん)まて。綺羅(きら)びやかに