← 前のページ
ページ 152 / 451
次のページ →
翻刻
我等(われら)重(かさ)ねて申けるゆうは。使臣(ししん)として国書(こくしよ)を奉(ほう)じ来(きた)りながら。若(もし)其(その)返書(へんしよ)
を受(うけ)ずして帰参(きさん)いたしなば。是(これ)君命(くんめい)を草(くさ)【艸】莽(むら)に委(すつ)るに同(おな)じからんの条(でう)
是非(ぜひ)ともに乞受(こひうけ)て回(かへ)らんと申(まう)せしを。允吉(いんきつ)若(もし)や強(しひ)て此事(このこと)を請(こひ)なば秀(ひで)
吉(よし)か意(こゝろ)に逆(さか)つて。長(なか)く彼国(かのくに)に押留(おしとゞめ)られなんかと。俄(にはか)に我等(われら)をすゝめて海(うみ)
界(きは)の浜(はま)まで到(いた)り回(かへ)りて相待(あひまつ)とき。荅書(たふしよ)始(はじ)めて到来(たうらい)せりされども其(その)ことば
礼(れい)なく。人(ひと)を慢(あなど)るの体(てい)多(おほ)くありし故(ゆゑ)。再三(さいさん)押返(おしかへ)してこれを改(あらた)めさせたる処(ところ)
なり。偖(さて)又(また)其(その)経来(へきた)る所々(ところ〳〵)の国主(こくしゆ)どもの贈(おく)り与(あた)ふる品々(しな〴〵)の音物(いんもつ)をは。金誠(きんせい)
一(いつ)全(まつた)く此(これ)を退(しりぞ)けて少(すこ)しも受納(うけおさむ)ることなしと語(かた)る。是(これ)より先(さき)黄允吉(くわういんきつ)すでに
釜山(ふさん)に回(かへ)り泊(とま)るとき。一使(いつし)を馳(はせ)て王城(わうしやう)へ其(その)量見(りやうけん)を述(のべ)て曰(いは)く日本(につほん)の様(やう)を
窺(うかゞ)ひ候にかならず兵禍(へいくわ)ちかきに起(おこ)り来(きた)り候はんか。早(はや)く御用心(こようじん)の事(こと)ある