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押來(おしきた)る日本人(につぽんじん)の。府中(ふちう)へおし入(い)らん事(こと)を恐(おそ)れて要害(やうがい)の地(ち)なれば。此所(こゝ)に城(しろ)を
かまへたり。頃(ころ)は五月六日の事(こと)なれば月(つき)は宵(よひ)より入(いり)。目(め)ざしもしれぬ闇夜(あんや)な
れば案内者(あんないじや)を先(さき)に立(たて)。汗馬(かんば)に鞭(むち)を加(くわ)へし程(ほど)に鶏(とり)のなく声(こゑ)聞(きこ)ゆるころ。城(しろ)の
東門(とうもん)におし寄(よせ)先(まづ)手(て)わけをぞしたりける。宗對馬守(そうつしまのかみ)其勢(そのせい)五千 余騎(よき)城(しろ)の巽(たつみ)
の田(た)の中(なか)をまはり。南(みなみ)の山(やま)につきて細道(ほそみち)有(あり)けるを通(とほ)りて南(みなみ)の木戸(きど)へ向(むか)ふ。松浦(まつら)
重信法印(しげのぶほうゐん)三千 余騎(よき)にて。城(しろ)の艮(うしとら)の小川(おかは)を渡(わた)り菖蒲林(しやうぶはやし)を五町(ごちやう)ほど渡(わた)り。城(しろ)
の北門(ほくもん)につく。此城(このしろ)朝鮮(てうせん)の都(みやこ)をさる事(こと)わづか百八十 里(り)なれば。若(もし)王城(わうじやう)より後(うしろ)
巻(まき)あらんかとて。有馬修理太夫治郷(ありましゆりだいふはるさと)。大村新八郎豊成(おほむらしんはちらうとよなり)。五島若狭守近政(ごとうわかさのかみちかまさ)。
の人々(ひと〳〵)三千 余騎(よき)にて城(しろ)の西門(せいもん)より十町(じつちやう)ばかり押出(おしいだ)し。府中(ふちう)に向(むか)つて備(そな)ひたり行(ゆき)
長(なが)は手勢(てぜい)七千 余騎(よき)大手(おほて)へむかふ。扨(さて)緒手(しよて)一 度(ど)に鬨(とき)を作(つく)り。太鼓(たいこ)を打(うち)貝(かひ)を