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余(よ)の勢(せい)を渡(わた)しければ。鍋島(なべしま)相良(さがら)の人々(ひと〴〵)もつゞいて川(かは)を渡(わた)しける。此時(このとき)加藤(かとう)
家(け)名代(なだい)の勇士(ゆうし)。木村又蔵(きむらまたぞう)進(すゝ)み出(いで)。某(それがし)敵地(てきち)のやうす物見(ものみ)仕(つかま)つらんと。黒毛(くろけ)
の馬(うま)に打(うち)またかり。真一文字(まいちもんじ)に乗出(のりいだ)し。しばらくして馳戻(はせもと)りて云(いふ)やう。都(みやこ)は
最早(もはや)間(ま)ちかく候。数万軒(すまんけん)の家々(いへ〳〵)相見(あいみ)へ其中(そのうち)王城(わうじやう)とおぼしき所(ところ)は。少(すこ)し
高(たか)くして煙(けふり)見(み)へ候。丑寅(うしとら)の方(かた)の山(やま)には小西殿(こにしとの)の御 ̄ン旗(はた)おひたゞしく見え候と云(いひ)
ければ。清正(きよまさ)大(おほい)に歓(よろこ)び先手(さきて)の者共(ものとも)急(いそ)げ〳〵と。自(みづか)らも母衣(ほろ)の者(もの)阿波伊兵(あはいへ)エ(ゑ)
島川九平衛(しまかはくへゑ)祐筆(ゆうひつ)の下川兵太夫(しもかわへいたいふ)を召具(めしぐ)し。案内(あんない)には木村又蔵(きむらまたぞう)を
先(さき)に立(たて)小西(こにし)に先(さき)をせられぬ内(うち)と。もみにもんで馳(はせ)たりける
朝鮮征伐記(てうせんせいばつき)巻之六《割書:終》