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朝鮮征伐記(てうせんせいばつき)巻之七
小西行長(こにしゆきなが)朝鮮(てうせん)の都城(とじやう)に入(い)る事(こと)
爰(こゝ)に朝鮮王城(てうせんわうじやう)の都元帥(とげんすゐ)金命元(きんめいけん)は。濟川亭(せいせんてい)といふ所(ところ)に人数(にんず)を揃(そろ)へて。日本(につほん)
勢(せい)を防(ふせ)がんと待居(まちゐ)たるに。日本(につぽん)の兵(へい)すでに間近(まちか)く寄来(よせきた)ると聞(きゝ)しかば。敢(あへ)
て合戦(かつせん)すべき志(こゝろ)もむなしくなり。悉(こと〳〵)く軍器(ぐんき)火炮(くわばう)弓矢(ゆみや)まで江(え)の中(なか)に没溺(ぼつでき)せ
しめて。其身(そのみ)は衣服(いふく)をかへて行衛(ゆくえ)もしらず逃(のが)れ行(ゆく)を。其(その)下司(したつかさ)なる従事官(じふじくわん)の
沈友正(ちんいうせい)一人のみ。是(これ)が下知(げぢ)にしたがはず猶(なほ)も城中(じやうちう)に回(かへ)り入(い)り。守城(しゆじやう)の大将(たいしやう)李陽(りやう)
元(げん)にしたがつて寄来(よせきた)る。倭賊(わぞく)を防(ふせが)んとしたりしに李陽元(りやうげん)もすでに。漢江(かんこう)の手(て)の
防守(ぼうしゆ)も其軍(そのぐん)自(みづか)ら散(さん)じ潰(つい)へぬと聞(きく)より。此城(このしろ)の守(まも)るべからざること察(さつ)し