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ものなりと心得(こゝろえ)たる其意(そのこゝろ)の懈(おこた)る処(ところ)を。日本勢(につほんぜい)見(み)すまし太刀(たち)の切先(きつさき)を揃(そろ)へて。二百
ばかりの兵(へい)一 度(と)にどつと切(きつ)て出(いづ)れば。光彦(くわうげん)大(おほ)いに倉皇(あはて)馬(うま)に打乗(うちの)つて走(はし)らんとすれど
も叶(かな)はず既(すで)に倭兵(わへい)の近(ちか)づくを見(み)て光彦(くわうげん)時禮(じれい)日頃(ひごろ)勇士(ゆうし)の名(な)あるにや恥(はぢ)たり
けん踏(ふみ)とゞまつて戦(たゝか)ひしが二人ともに敵(てき)二三人に手(て)を負(おは)せ。其身(そのみ)もこゝにて討(うた)れ
けり。朝鮮(てうせん)の諸軍勢(しようぐんぜい)二人の勇士(ゆうし)敵(てき)のために。あへなく討(うた)るゝと聞(きく)より兔(と)角(かく)
和兵(わへい)は侮(あなど)りがたしと思(おも)ひけん。大(おほい)に震惧(おのゝきおそ)れける三巡察使(さんしゆんさつし)の輩(ともがら)はみな。文人(ぶんじん)
にしていまだ兵事(へいじ)に閑(ならは)ぬ者(もの)どもなりければ。軍兵(ぐんひやう)は多(おほ)しといへどもその号令(ごうれい)の
一ならず。其上(そのうへ)また險岨(けんそ)によつて兵(へい)の備(そなひ)を立設(たてまう)くるすべをもしらず。みだりに
敵(てき)を侮(あなど)り春遊(しゆんゆう)の如(ごと)くなる。其兵行(そのへいかう)なんぞ破(やぶ)れざるべきや。其(その)翌日(よくじつ)に至(いた)つ
て戸川(とがは)花房(はなふさ)の二人は。傍輩(はうばい)物頭(ものかしら)の面々(めん〳〵)を集(あつ)め朝鮮(てうせん)の兵卒(へいそつ)其数(そのかず)多(おほ)しと