Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - ページ 348

ページ: 348

翻刻

龍(りやう)は事(こと)急(きう)なりとおもひし故(ゆゑ)。人(ひと)をつかはして李鎰(りいつ)が軍(いくさ)は発(はつ)したりや。見(み)て 来(きた)れと云(いひ)ければ使者(ししや)は命(めい)をうけて出行(いでゆき)しが。直(たゞち)に馳戻(はせもど)りて云(いふ)やういまだ門上(もんじやう)の 矢倉(やぐら)の上(うゑ)にありと云(いふ)。柳成龍(りうせいりやう)はしきりに心(こゝろ)をいらだて。尹斗寿(いんとしゆ)へ此旨(このむね)を告(つげ)やり て急(きふ)に李鎰(りいつ)を催促(さいそく)せしむ。李鎰(りいつ)すでに行(きやう)を発(はつ)すといへども道(みち)の案内(あんない)しらざ るゆゑ。その方角(はうかく)をあやまつて江西(こうさい)の方(かた)に馳向(はせむか)ふ。中途(ちうと)にして平壌城(へくしやくじやう)の番兵(ばんへい)の 座頭(さがしら)金胤(きんいん)といへる者(もの)が。外(ほか)より来(きた)るに出会(いであひ)てその道(みち)を問(とひ)ければ。金胤(きんいん)聞(きい)て これは方角(はうがく)ちがひたり。此方(こなた)へ馳(はせ)られ候 得(え)とて真先(まつさき)に馬(うま)を馳(は)せ。その道筋(みちすぢ)を案(あん) 内(ない)なしける故(ゆゑ)李鎰(りいつ)が人数(にんず)馬(うま)に鞭(むち)をくわへて馳(はせ)たりければ。すでに万頂臺(はんけうだい)の 下(した)に至(いた)りたり。平壌城(へくしやくじやう)をはなるゝ事(こと)わづかに十 余里(より)ばかりにして。江南(こうなん)の岸頭(がんとう) を望(のそ)み見(み)れは。早(はや)日本(につほん)の兵将(へいしやう)数(す)百 騎(き)馬(うま)に白泡(しらあは)はませて駈来(かけきた)る。此筋(このすぢ)へ馳(はせ)