← 前のページ
ページ 36 / 451
次のページ →
翻刻
華(くわ)の人(ひと)を五千人を率(ひき)ひて到(いた)りける。詩書(ししよ)礼楽(れいかく)醫卜(いほく)の枝芸(きけい)までみな
したがへて往(ゆき)たりしが。既(すで)に朝鮮(てうせん)に入(い)ると云(いへ)とも其土(そのど)の人(ひと)の言語(ごんご)さらに通(つう)ぜ
ず。故(ゆゑ)に訳者(つうじ)を以(もつ)て言(ことば)を解(げ)し人道(じんだう)に五常(こじやう)あることを知(し)らする故(ゆゑ)中国(ちうごく)の
風(ふう)自(おのづか)らうつしける。これによつて衣冠(いくわん)の制度(せいと)こと〳〵く中国(ちうごく)に同(おな)じ。それより歳(せい)
霜(そう)おし移(うつ)り周道(しうだう)もまた。哀(おとろ)ふる代(よ)に到(いた)り諸矦(しよこう)我意(がい)をふるふの時(とき)。こゝに燕(ゑん)
国(こく)の矦(こう)王号(わうがう)を偕称(せんしよう)し。東方(とうばう)の国々(くに〴〵)まで兵(へい)を出(いた)して切(きり)なびけ。既(すで)に朝鮮(てうせん)
の地(ち)までも打入(うちい)らんなどゝ取(とり)さたあれば。朝鮮矦(てうせんこう)はこのよしを聞(きく)よりも同(おな)
じく。是(これ)も王号(わうがう)を称(しよう)し兵(へい)をおこして燕(ゑん)を伐(うち)。周王(しうわう)の味方(みかた)をなし天子(てんし)
をたつとぶ道(みち)を立(たて)んとしたりける。されども朝鮮(てうせん)の大夫(たいふ)禮(れい)といへる者(もの)強(しひ)て
。便宜(びんぎ)のよからぬ事(こと)をもつて諌(いさ)むる故(ゆゑ)。兵出(へいをいだ)すの事(こと)をば止(や)みぬその後(のち)に