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しらけて見へける時(とき)。清正(きよまさ)時分(じぶん)はよしと自(みづか)ら真先(まつさき)に。馬(うま)を馳(はせ)て敵中(てきちう)へ駈入(かけいり)
当(あた)るを幸(さいわ)ひ打倒(うちたふ)し。突倒(つきたふ)し働(はたら)きければ味方(みかた)の兵(へい)。何(なに)かは少(すこ)しも猶余(いうよ)す
べき我劣(われおと)らじと。八 方(はう)へ当(あた)りて戦(たゝか)ひば木村(きむら)井上(ゐのうへ)飯田(いひだ)の輩(ともがら)。是(これ)を見(み)て大将(たいしやう)
に先(さき)を越(こさ)れて残念(ざんねん)なりと。轡(くつばみ)をならべて同(おな)じく敵中(てきちう)へわつて入(いり)。兀良哈勢(おらんかいせい)日本(につほん)
にても名高(なだか)き加藤(かとう)の勇臣等(ゆうしんら)に捲立(まくりたて)られ。瞬(またゝ)くうちに五六百人 討(うた)れしかば今(いま)
は総崩(そうくづ)【惣】れとなつて引退(ひきしりぞ)くを。味方(みかた)は勝(かつ)に乗(のつ)て追討(おひうち)けるを。清正(きよまさ)は是(これ)を制(せい)し
人馬(にんば)ともに労(つか)れたれば。長追(なかおひ)なすべからずとて人数(にんず)をまとめて休息(きうそく)なして。其(その)
夜(よ)は此所(このところ)に野陣(のぢん)を張(はり)翌日(よくじつ)早天(さうてん)に手負(ておひ)たる者(もの)を中(なか)にかこひ。勢(いきほ)ひ摚々整々(とう〳〵せい〳〵)
として陣払(ぢんばらひ)をなし打立(うちたゝ)んとす此(この)瓶愈浦(へいゆほ)といへる所(ところ)は。日本(につほん)より乾(いぬゐ)に当(あた)りて雲(くも)
晴(はれ)日和(ひより)よき時(とき)は。日本(につほん)の富士山見(ふじさんみ)ゆる。此所(このところ)人家(じんか)の屋根(やね)などはみな昆布(こんぶ)にて