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こしらひ有(あり)けるなり。清正(きよまさ)は兀良哈人(おらんかいじん)の生捕(いけどり)を案内者(あんないじや)となし。近道(ちかみち)へ入(い)りて
沙塞(しやさい)といへる大川(だいが)にかゝる。此川(このかは)の向(むか)ふは兀良哈(おらんかい)の地(ち)にして后虹(こう〴〵)といふ家数(いへかず)四五百 軒(けん)
有(あり)。其村(そのむら)より大勢(おほぜい)の人(ひと)立出(たちいで)日本人(につほんじん)を見物(けんぶつ)なして居(ゐ)たりしが。其中(そのなか)より三人 進(すゝ)み
出(いで)日本勢(につほんぜい)の方(かた)をさしまねき。尻(しり)をまくりたゝきつゝ一 度(ど)にどつと笑(わら)ひけり。清正(きよまさ)
大(おほい)に腹(はら)を立(たち)。アレ射殺(ゐころ)せと下知(げぢ)すれば馬上(ばじやう)の侍(さむらひ)十 騎(き)計(ばかり)下(お)り立(たち)て。鉄砲(てつほう)を打(うち)かけ
しかども其間(そのあひ)はるかに隔(へだ)たりける故(ゆゑ)当(あた)らざれば。清正(きよまさ)案内者(あんないじや)を近(ちか)く呼(よび)此川(このかは)の
渡(わた)る瀬(せ)を聞(きゝ)。総軍(そうぐん)【惣】に下知(げぢ)して一度に川(かは)へ乗込(のりこみ)さか巻(まく)水(みず)を事(こと)ともせず。鬨(とき)を揚(あげ)
て渡(わた)しければ。兀良哈人(おらんかいじん)此(この)有(あり)さまに驚(おどろ)き蜘(くも)の子(こ)を散(ちら)すが如(ごと)く。后虹村(こう〳〵むら)へ逃込(にげこみ)
ければ清正(きよまさ)は通辞(つうじ)をつかはして言(いは)せけるは。此兀良哈(このおらんかい)の地(ち)は日本国(につほんごく)へ対(たい)し何(なん)の意(い)
趣(しゆ)もなきといへども。朝鮮(てうせん)の王子(わうじ)落来(おちきた)り給ふゆゑ追(おひ)かけ来(きた)りて。此(この)国風(こくふう)を聞(きく)に人(ひと)