← 前のページ
ページ 378 / 451
次のページ →
翻刻
手(て)に手(て)を取(とり)かはし涙(なみた)をながして鍋島(なべしま)申されけるは御辺(ごへん)と永興(えいきやう)に別(わか)れ
しより四ヶ月(げつ)が間(あひだ)行衛(ゆくゑ)しれず音信(おとづれ)もなければ扨(さて)は討死(うちじに)なし給へけるかと
明暮(あけくれ)案事(あんじ)わづらひしに先達(さきだつ)て兀良哈(おらんかい)にて両王子(りやうわうじ)をはじめ多(おほ)くの大臣(だいじん)を
生捕(いけとり)給へしとの日本(につほん)へ御注進(ごちゆうしん)の使(つかひ)に承(うけ給は)り漸々(やう〳〵)案心(あんしん)いたしたりさるにても此(この)
度(たび)彼地(かのち)にての御戦功(ごせんこう)天晴(あつばれ)さぞかしとおもひやらるゝなりと歓(よろこ)ばれければ清正(きよまさ)も
兀良哈(おらんかい)表(おもて)の合戦(かつせん)よりして両王子(りやうわうじ)を擒(とりこ)となしたることなどを語(かた)り両王子(りやうわうじ)に
鍋島(なべしま)相良(さがら)の両将(りやうしやう)を謁(ゑつ)せしめければ両将(りやうしやう)も清正(きよまさ)が働(はたら)きを感(かん)じ扨(さて)両将(りやうしやう)清正(きよまさ)に
向(むか)ひ御《割書:ン》身(み)を入(いれ)まゐらせんために一ッの城(しろ)をきづき置(おき)候へば夫(それ)へ御《割書:ン》入(いり)あつて御休足(こきうそく)あ
るへしとて家来(けらい)に案内(あんない)させければ清正(きよまさ)は大(おほい)に歓(よろこ)び其意(そのい)にまかせ兵(へい)を引(ひい)て
新城(しんじやう)に入(いつ)て長途(ちやうど)の労(つか)れを休(やす)めける此地(このち)は殊(こと)の外(ほか)豊饒(ぶにやう)の地(ち)にして洛陽(らくやう)にも