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速(そく)に李徳馨(りとくけい)に命(めい)ぜられ。景應舜(けいおうしゆん)をさし添(そへ)て行長(ゆきなが)が方へつかはしける。徳馨(とくけい)
は去(さん)ぬる年(とし)宗義智(そうのうよしとし)等(ら)が使(つかひ)として来(きた)りし時(とき)。馳走人(ちさうにん)にて出合(いてあひ)たるゆゑに行(ゆき)
長(なが)も。其名(そのな)を知(し)るかゆゑ今度(このたび)も彼(かれ)をさして状(じやう)をも贈(おく)れるなり。李徳馨(りとくけい)
等(ら)はその時(とき)途中(とちう)まで出(いで)たるに忠州城(ちくしうじやう)もはや陥(おちい)ると聞(きこ)へたれば。如何(いかゞ)あとへや
還(かへ)らんかと思案(しあん)する。折(をり)から加藤清正(かとうきよまさ)が兵(へい)に出遇(いであひ)應舜(おうしゆん)は討(うた)れければ。
徳馨(とくけい)もやう〳〵に逃(に)げ回(かへ)【囘は古字】り王城(わうじやう)に入(い)らんとするにはや李㫟(りゑん)平壌(へくしやく)に落行(おちゆき)
給ふにより。直(たゞち)に行在所(あんざいしよ)に至(いた)つて此事(このこと)を奏聞(そうもん)したりけり。これによつて和睦(わぼく)の
儀(ぎ)も久(ひさ)しくこと止(や)んで其(その)沙汰(さた)もなかりしに兔(と)角(かく)につゐて行長(ゆきなが)はじめより和(わ)
議(ぎ)をおもふの志(こゝろざし)止(やま)ざりしゆゑ。今(いま)また如此(かくのごとく)の書(しよ)を贈(おく)りて。和睦(わぼく)をなさんと欲(ほつ)す
る下意(したこゝろ)とは見(み)へたりける。行長(ゆきなが)一己(いつこ)の功(こう)をたてんと思(おも)ひ。はじめ李彦誠(りけんせい)を免(ゆる)し