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配(くば)りをなし草(くさ)を結(むす)んで陣(ぢん)を取(とり)。軍営(くんゑひ)を連(つら)ねたり凡(およそ)数(す)十人の大将(たいしやう)。家々(いへ〳〵)の
幕(まく)の紋(もん)其(その)染色(そめいろ)の品(しな)をまじへて。昼(ひる)は旌旗(せいき)大旆(まとい)の影日(かけひ)に照(てら)されておびたゞしく
夜(よ)はまた焼(たき)つゞけたる炬火(かゝりひ)に江淵(こうゑん)の魚(うを)もおどろくへし。かくて累日(るいしつ)を経(ふる)といへ
ども。朝鮮(てうせん)の兵士(へいし)命(いのち)を捨(すて)て是(これ)を防(ふせ)けば。一 端(たん)にしてはなか〳〵もつて安(やす)く渡(わた)りを
なし得(う)べきやうもなし。また遠矢(とほや)の軍(いくさ)ばかりにてははか〴〵しき勝負(しやうふ)なければ
今(いま)は攻(せむ)るに力(ちから)もつき日本(につほん)の兵士(へいし)退屈(たいくつ)し。其(その)警(いましめ)も怠(おこた)りがちになりたりける。金(きん)
命元(めいけん)等(ら)は平壌城(へくしやくじやう)より遥(はる)かに是(これ)を望(のぞ)み見(み)て。諸将(しよしやう)とはかつて云(いひ)けるやう倭賊(わぞく)の
体(てい)をかんがふるに。其勢(そのいきほ)ひ始(はしめ)とちかひ大(おほい)に怠惰(たいだ)して相見(あひみ)ゆるは。此城(このしろ)まさに江(え)を
隔(へだて)て。その守(まも)りも最(もつと)も強(つよ)きによつて全(まつた)くこれを攻(せめ)あぐみ。退屈(たいくつ)すると覚(おぼ)えたり
いざや此夜深更(このよしんこう)に精兵(せいへい)をゑらんで。一 夜討(ようち)して味方(みかた)の兵士(へいし)の勢(いきほ)ひをつくべしと