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元均(げんきん)もこゝに感悟(かんご)し。乃(すなは)ち英男(えいなん)を使者(ししや)として舜臣(しゆんしん)が方(かた)に遣(つかは)し。援兵(ゑんへい)を出(いだ)し
てともに志(こゝろざし)を合(あは)せ。日本勢(につほんせい)を退(しりぞ)くべきことを乞望(こひのぞ)むといへとも。舜臣(しゆんしん)は此(この)ことを辞(じ)
退(たい)して。人々(ひと〳〵)みな其守(そのまも)るへきの分境(ふんきやう)の限(かき)り有(あり)。朝廷(てうてい)の令(れい)なふして豈(あに)擅(ほしまゝ)に自(みづか)ら
境(さかい)を越(こゆ)るの義(ぎ)あらんやといふを。元均(げんきん)猶(なほ)やまずして強(しい)て是(これ)を求(もとむ)ること。凡(およ)そ往(おう)
返(はん)五六 度(と)に及(およ)ぶといへともやますして。英男(えいなん)をさし遣(つかは)す英男(えいなん)が空(むな)しくかへること
に。船(ふね)の頭(かしら)に座(ざ)をなし遥(はる)かに是(これ)を望(のぞ)み見(み)て。痛哭(つうこく)せずといふことなし舜臣(しゆんしん)も
かたく辞(じ)すといへども。元均(けんきん)が誠(まこと)あるしひてもとむるの志(こゝろざし)にめで乃(すなは)ち水(すゐ)
軍(ぐん)を起(おこ)し四十 艘(そう)を率(ひきい)て巨済(きよさい)に到着(たうちやく)すれば。元均(げんきん)大(おほい)に歓(よろこ)び謀略(ほうりやく)を相定(あひさだ)めてすでに
兵船(へいせん)を調(とゝの)へ。日本勢(につほんぜい)と戦(たゝか)はんとぞなしたりける
朝鮮征伐記(てうせんせいはつき)巻之十《割書:終|》