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コレクション: コレクション1

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - 翻刻

BnF. Département des manuscrits. Japonais 190-191 - ページ 77

ページ: 77

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るに忍(しの)びざれども夫(おつと)の命(めい)のそむきがたきに。帛(はく)を以(もつ)て卵(たまこ)をつゝみ宝物(ほうもつ)を多(おほ)く中(うち)に 満(いれ)て。是(これ)を櫝(ひつ)に入(いれ)封(ふう)じ海(うみ)に浮(うか)めて流(なが)し去(さ)り。八重(やえ)の塩路(しほぢ)の雲霞(くもかすみ)行衛(ゆくゑ)もしらず 放(はな)ちさる。偖(さて)もこの櫝(ひつ)朝(あした)の風(かせ)夕(ゆふ)への浪(なみ)に漂泊(たゝよふ)て行程(ゆくほと)に。遂(つひ)による瀬(せ)の定(さだま)るにや 金官国(きんくわんこく)の磯辺(いそべ)によるを。海浜(かいひん)の漁人(ぎよじん)とも是(これ)を取(とり)あけ卵(たまご)を見(み)て。これは何(いか)なる 水怪(すゐくはい)【恠は俗字】ぞや。此程(このほと)しきりに風波(かせなみ)悪(あら)ふして漁(すな)どりの無(なか)りしは是(これ)が故(ゆゑ)にてありけるかと 早(はや)く捨(すて)よとて。元(もと)の如(こと)くに封(ふう)をなしおそれて沖(おき)へ衝(つ)き出(いた)す。其(それ)よりこの櫝(ひつ)再(ふたゝ)び転(めく) りたゞよひて。辰韓(しんかん)の阿珎浦口(あちんほこう)といふ所(ところ)の蜑女(あま)の老嫗(らうば)。是(これ)を見付(みつけ)て櫝(ひつ)を開(ひら)きたり けるに。其中(そのなか)に美(び)なる男兒(なんし)の微笑(びしやう)して有(あり)けるを。老嫗(らうば)はよろこんて遂(つひ)にこれを やしなひたつるに。程(ほと)なく成人(せいじん)するにしたかへ身(み)の長(たけ)九尺(くしやく)にあまり。其骨(そのこつ)清(きよ)く秀(ひい) てゝ凡人(ぼんにん)とは更(さら)に見(み)へざりける。其知識(そのちしき)大(おほい)にすぐれたり。曽(もと)よりこの兒(ちこ)の姓名(せいめい)